2013年9月8日日曜日

断層地形に関する問題意識

花見川流域の小崖地形 その18

「花見川流域の小崖地形」シリーズを2013412日記事「花見川流域小崖地形の自然史上の重要性とその調査について」で始め、2013615日記事「「地質図Navi」を知る」まで続けましたが、他の記事に熱中してしまい、3ヶ月中断してしまいました。

花見川流域の自然特性を知る上で、小崖地形つまり変動地形(断層地形)について知ることは必須ですので、再開して検討を急ぎたいと思います。

なお、地形に関しては、断層地形の他、後氷期の海面変動についても改めて詳しく検討したいと思っています。

シリーズ記事は2013.04.15記事「小崖地形検討箇所と検討方法」に基づいて作成していく予定ですが、中断した3ヶ月の間に小崖地形に対する問題意識も少し整理されてきましたので、再開するにあたりまとめておきます。

1 断層地形型水系網の成因
次の図に例示したように、断層地形型水系網と呼べる水系網が花見川流域と近隣にあります。

断層地形型水系網の例

断層地形型水系網のでき方については、その基本的考え方を2012.02.29記事「小崖2に起因する谷津パターン」にまとめました。このような考え方が、平戸川流域の水系網も、小名木川他1河川流域でも成り立つのか検討したいと思っています。

小名木川他1河川流域は花見川流域ではありませんが、このブログにおける興味が香取の海(利根川流域)と東京湾との関係性に拡大してきていますので、花見川流域の近隣流域も必要に応じて検討対象に含めて行きます。

2 断層起因地形の検討
次の図に示すような断層起因地形の存在を確認あるいは想定してます。

断層起因地形の例

●谷中分水界列と化石谷(湖沼)列…印旛沼水系谷津が地形の変動により印旛沼水系と切り離されて、流域という観点では、宙ぶらりんな土地となり、谷津は湖沼となり、その後化石化しました。
この土地の成り立ちを詳しく検討します。

2断層に起因する古長沼(湖沼)…2012.03.30記事「古長沼の成因」で既に検討してありますが、その補足検討をします。

●下総上位面最古期の谷津地形…断層運動の時間的変化(南→北に地形変動の順番があったと考える)から考えて、この周辺で確認できる下総上位面最古期の谷津地形がみられると考える。その考えを検証します。

●横ずれ断層地形…2012.07.14記事「海老川乱歩さんの大発見(!)」で記述したように、柏井小崖は横ずれ成分を持つ断層であり、横ずれ断層地形を伴います。その横ずれ成分を検討します。

●断層起因湖沼…各所に断層起因湖沼と考えられる地形が存在します。それぞれ、本当に断層起因の湖沼跡であるのか、検討します。

3 河川争奪地形、東京湾水系の断層線谷
東京湾水系谷津の内、断層地形と関わりのある地形を次に示します。

河川争奪地形、東京湾水系の断層線谷

●河川争奪地形…河川争奪地形は、下総上位面に形成された谷津(必従谷津、印旛沼水系)が断層運動によって変動地形となり、その変動地形を東京湾水系が侵蝕することによって形成されたものです。
この河川争奪地形が形成されたころ、断層運動が継続していたかどうか、検討します。

●東京湾水系の断層線谷…花見川と宇那谷川の谷津が直線的である理由は、そこに断層とそれに起因する変動地形があって、東京湾水系谷津がこの土地を侵蝕する時に、その変動地形に影響を受けて造られたものと考えます。このような考えを支持する材料を集めてみたいと思います。

追記
この記事を読み返してみて、我ながら花見川流域とその周辺が断層地形の宝庫であることに気がつきました。また、侵蝕地形も断層地形の影響を強く受けています。
下総上位面という地形面一つをとっても、複数の断層の影響を受けて特徴的な変動をしており、その変動(と時期)により区分して捉えることができそうです。(2013.09.09)

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つづく

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