2013年10月11日金曜日

実籾で観察できる台地上の浅い谷

花見川流域の小崖地形 その38

1 花島小崖のB地区の検討
花島小崖の検討をCF地区と進めてきましたが、この記事では、次の図に示すB地区の検討を行います。

この記事で検討する花島小崖の場所

2 花島小崖のルートと小崖の形状
 次に花島小崖のルートと小崖の形状を示します。

花島小崖のルートと地形断面位置
基図は段彩図(現代地形)と旧版1万分の1地形図(大正6年測量)のオーバーレイ図

位置関係が判るように、基図を標準地図にしたものを次に示します。

参考 花島小崖のルートと地形断面位置
基図は標準地図(電子国土ポータルによる)

地形断面図

小崖(断層崖)の見かけの比高は2.9m5.3mとなっています。ただし、断面2では比高5.3mとなっていますが、崖下に浅い谷地形がありますので、5.3m全てが縦ずれに起因するものではありません。

3 実籾付近で観察できる台地上の浅い谷
崖下の浅い谷の横断面(断面5)を次に示します。

台地上の浅い谷の横断形

特段の根拠を示すことはできませんが、この浅い谷は、小崖発生前に下総上位面を刻んでいた必従谷津がその下流部と断層によって分断され、ダムアップして一時湖沼化して平坦化した化石谷津地形であると考えます。

この浅い谷と連続していた下流部の谷津地形が小崖の上(北)に残っていてしかるべきですが、人工改変(俘虜収容所等軍事施設建設)のために失われたと考えます。

4 東京湾水系が花島小崖を切る
 東京湾水系の2つの侵蝕谷津(花見川支川長作川の谷津、浜田川の谷津)が花島小崖を切っています。

東京湾水系谷津と花島小崖の交差部の地形をよく観察すると、谷津地形が小崖をつくった断層運動によって変形している(横ずれしている)という情報は得られません。東京湾水系谷津の侵蝕作用が行われてから以降では、花島小崖の横ずれ地殻運動は活発ではないと推察できます。

なお、花島小崖線(断層線)と谷津地形が交差する部分付近では、新たな侵蝕活動が始まったように見える地形が観察できます。(上図「花島小崖のルートと地形断面位置」の赤丸印)
これは小崖線には、地形の変換部や地質の弱部が存在しているために、侵蝕を受けやすい条件があるためであると考えます。

5 参考 地形の3D表示
次に地形段彩図(現代地形)とDMデータ(現代地図)をオーバーレイした地図をつくり、参考までに3D表示してみました。

地形段彩図とDMデータの重ね合せ図
DMデータは千葉市及び習志野市提供

3D表示
カシミール3Dにより作成

この図で、花島小崖(断層崖)の形状を立体的に理解できます。

カシミール3Dの立体の垂直方向の表示単位が1mであるので、全体が段差で構成された大ざっぱな模型のような表示になっています。
立体の垂直方向の表示単位が10cmのソフトがもしあれば、台地地形の詳細検討が進むのですが…。


0 件のコメント:

コメントを投稿