2014年11月4日火曜日

旧石器時代遺跡と地形 事例検討その5 遺物集中地点の規模区分

花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.2旧石器時代の移動路>3.2.11旧石器時代遺跡と地形 事例検討その5 遺物集中地点の規模区分

「千原台ニュータウンⅩ-市原市草刈遺跡(東部地区旧石器時代)-」(平成15年、財団法人千葉県文化財センター)に掲載されている詳細な遺物集中地点データを用いて旧石器時代遺跡と地形との関係分析を始めます。

「千原台ニュータウンⅩ-市原市草刈遺跡(東部地区旧石器時代)-」(平成15年、財団法人千葉県文化財センター)では草刈遺跡の東半分地域の情報が掲載されていますので、その情報を対象に検討します。

掲載されている遺物集中地点は5地区98箇所です。

「千原台ニュータウンⅩ-市原市草刈遺跡(東部地区旧石器時代)-」(平成15年、財団法人千葉県文化財センター)に掲載されている遺物集中地点の分布と地形との関係
「千原台ニュータウンⅩ-市原市草刈遺跡(東部地区旧石器時代)-」(平成15年、財団法人千葉県文化財センター)から引用 情報追記

まず、最初に遺物集中地点の規模を出土石器数により区分しましたので説明します。

遺物集中地点の規模は遺物集中地点の意義と対応していると考えるので、遺物集中地点の規模と地形との対応関係を見れば、旧石器時代の狩生活の様子をあぶり出すことが出来るのではないだろうかと考えています。

遺物集中地点の規模とその意義との関係は一般論として次のような関係を想定しています。

規模の大きな遺物集中地点 = 狩拠点としての臨時キャンプ
規模の小さな遺物集中地点 = 狩現場施設(狩場封鎖施設、見張り小屋、解体・干し肉・皮干し作業小屋)

98の遺物集中地点を出土石器数の多さの順番に並べてみると次のようになります。

遺物集中地点の出土石器数
礫は含んでいません。

出土石器数最高は688、最低は0(礫のみ出土)です。

この図を参考にして遺物集中地点の規模を次のように設定しました。

遺物集中地点の規模区分

規模が大きい場合は石器の分布範囲が拡がり密集して出土しますが、規模が小さい場合は石器の分布範囲が狭まり散漫に出土します。
これは規模が大きい場合は居住的生活が営まれた面積の大きな施設を多人数が繰り返し利用したことに対応し、規模が小さい場合は面積の小さな狩特殊機能施設を少人数が散漫な頻度で利用したことに対応していると考えます。

規模区分毎に地形立地との関係をみると次のようになります。

規模と立地地形との対応

規模Aは全て平坦面・緩斜面に立地しています。狩拠点の臨時キャンプは平坦面・緩斜面に立地したということです。
規模B、Cもその多くが平坦面・緩斜面に立地しています。これは臨時キャンプ的機能を有する施設が平坦面・緩斜面に立地したことを示すとともに、臨時キャンプ的機能を有する施設が少数ですが斜面に立地したことを示しています。それには理由があったはずですから、その理由に興味が湧きます。
規模Dでは41%にあたる7つが、規模Eでは24%にあたる10が斜面に立地しています。これは、狩の特殊機能施設のうちかなりの部分が斜面に立地していて、斜面が狩で重要な役割を果たしていたことを示しています。

次に、遺物集中地点規模区分別に出土石器種類の特性や文化層別分布分析をします。
つづく

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