2014年11月8日土曜日

単独出土石器の構成と分布

花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.2旧石器時代の移動路>3.2.15旧石器時代遺跡と地形 事例検討その9 単独出土石器の構成と分布

「千原台ニュータウンⅩ-市原市草刈遺跡(東部地区旧石器時代)-」(平成15年、財団法人千葉県文化財センター)には遺物集中地点の情報だけでなく、単独出土石器の情報も掲載されています。
その単独出土石器の構成と分布を検討します。

1 単独出土石器の器種構成
報告書掲載単独出土石器の器種構成は次の通りです。

単独出土石器の器種構成

出土数が多いものは剥片25(37.3%)、ナイフ形石器12(17.9%)、石刃6(9.0%)、石核6(9.0%)、槍先形石器4(6.0%)などとなっています。

次に示す全遺物集中地点の器種構成と大いに違います。

参考 全遺物集中地点の器種構成

全遺物集中地点の器種構成は剥片が2645で全体の60.1%を占めます。次いで砕片1028(23.3%)、使用痕ある剥片175(4.0%)、石核153(3.5%)であり、ナイフ形石器は100(2.3%)となっています。さらに、石刃92(2.1%)、加工痕ある剥片71(1.6%)と続きます。

単独出土石器と遺物集中地点から出土する石器の器種構成の違いは、単独出土石器は野外で狩そのものの活動をしている時に地表に落ちた石器が大部分であり、遺物集中地点の石器は施設内(建物か作業ヤード)で地表に残った石器であり、そうした出自の違いに由来していると思います。

つまり、単独出土石器は獲物の動物に対して槍を向けて追い立て、仕留めようとした時に地表に落ちた石器ですから、槍の先に実装した石器が大部分であり、それが現代考古学では剥片25(37.3%)、ナイフ形石器12(17.9%)、石刃6(9.0%)、石核6(9.0%)、槍先形石器4(6.0%)などと分類されたものだと思います。

単独出土石器の例

2 単独出土石器の分布
単独出土石器の分布状況を次に示します。

単独出土石器の分布

単独出土石器とはその器種構成から大部分が野外における狩活動に直接起因する出自を有すると考えますから、単独出土石器分布から狩フィールドそのものを把握できるものと考えます。

この単独出土石器分布図の粗密をより詳細に把握して地形等との関係から見ると、より具体的な狩活動の姿を思い浮かべることができます。
さらに、単独出土石器分布図と遺物集中地点分布図を比べることによって、狩フィールドと狩後の獲物加工処理場所や臨時キャンプ地との関係を知ることもできます。
これらの検討は次の記事で行います。

つづく

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