2015年2月5日木曜日

花見川流域の古墳時代製鉄関連遺跡

花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.4〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路の検討>3.4.57 花見川流域の古墳時代製鉄関連遺跡

現在遺跡文献の悉皆閲覧を細々ではありますが進めています。(2015.01.18記事「遺跡文献の悉皆閲覧計画」参照)

その活動の中で、花見川流域に古墳時代製鉄関連遺跡が発掘されていることがわかりましたので、興味深いので、報告しておきます。

1 花見川流域の古墳時代製鉄関連遺跡 杉葉見遺跡
杉葉見遺跡はふさの国文化財ナビゲーションでは時代情報無し、文献無しのため(※)これまでこのブログでは、検討対象外の遺跡でした。

※ふさの国文化財ナビゲーションの杉葉見遺跡全情報
遺跡名 杉葉見遺跡
よみがな スギハミ
所在地 千葉市花見川区畑町杉葉見
種別 包蔵地
時代 (空欄)
立地・現状 台地上・畑
遺構・遺物 土師器
文献 (空欄)
備考 (空欄)

ところが、図書館で見つけた次の報告書に製鉄関連遺跡発掘の情報が掲載されていましたので、紹介します。

●報告書名 「千葉市杉葉見遺跡 -(仮称)畑町宅地造成計画事業地内埋蔵文化財調査報告書-」(2010、株式会社伸和住宅・財団法人千葉市教育振興財団)

2015.01.29記事「花見川付近の地域構成イメージ検討」で、前方後円墳に対応する圏域(支配領域)毎に鍛冶施設があったに違いないと考えて、花見川・浜田川流域にも鉄に関する遺跡があるに違いないと考えたのですが、その通りの情報にめぐりあったので、自分としては興味が深まります。

2 杉葉見遺跡の位置
杉葉見遺跡の位置を次に示します。

杉葉見遺跡の位置

杉葉見遺跡は畑川の奥にあり、畑川左岸の陣屋台古墳群に関連する地域集団との関係を濃厚に感じます。その集団の末裔が現在の畑集落(畑川河口左岸台地上の集落)に関係すると考えます。

地名「畑」は秦(秦氏)かもしれません。(近々、地名「畑」は秦氏かもしれませんではなく、秦氏に違いないとする記事を書きたいものです。)

3 杉葉見遺跡の概要
・古墳時代竪穴住居跡13軒検出、土師器・鉄器・鉄滓出土、製鉄関連遺跡。

・今回の調査では、古墳時代前期・中期の竪穴住居跡が13軒検出された。

・調査成果として、製鉄関連遺跡が多く検出されたことが挙げられる。第1号竪穴住居跡からは、土師器高杯転用羽口と鉄滓が多く検出された。また、調査区外の地点からは、金床石と炉壁片が表採された。以上のことから、炉体を伴う遺構は検出されていないが、本遺跡は製鉄に関連する集落跡である可能性が高く、製鉄関連の遺構は、表採地点を中心とした調査区隣接地に展開することが予想される。

4 鉄滓等出土状況
1号竪穴住居跡からは高坏転用羽口(たたらの送付口)、鉄釘、鉄製鏨(たがね)、鉄滓(スラグ、ノロ)を検出している。鉄滓は293点、総重量2.043㎏。

高坏転用羽口、鉄製釘、鉄製鏨
「千葉市杉葉見遺跡 -(仮称)畑町宅地造成計画事業地内埋蔵文化財調査報告書-」(2010、株式会社伸和住宅・財団法人千葉市教育振興財団)から引用追記

鉄滓
「千葉市杉葉見遺跡 -(仮称)畑町宅地造成計画事業地内埋蔵文化財調査報告書-」(2010、株式会社伸和住宅・財団法人千葉市教育振興財団)から引用追記

鉄滓出土状況等
「千葉市杉葉見遺跡 -(仮称)畑町宅地造成計画事業地内埋蔵文化財調査報告書-」(2010、株式会社伸和住宅・財団法人千葉市教育振興財団)から引用

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