2015年8月22日土曜日

萱田遺跡群出土土器の器種内訳

花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.4〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路の検討>3.4.190 萱田遺跡群出土土器の器種内訳

萱田遺跡群出土土器検討のウォーミングアップとして、遺跡別器種別に出土土器数を求めてみました。

萱田遺跡群器種別出土土器数
各遺跡発掘調査報告書から集計

器種の判定(分類名称の与え方)は各遺跡発掘調査報告書毎に微妙に異なりますので、また最初は器種の大局分類で遺跡を概括的見てみたいので、このブログでは全体の統計資料は次のように括ってつくりました。
●坏類…坏、高台付坏、高坏
●甕類…甕、広口甕、台付甕
●皿類…皿、高台付皿、小型皿、耳皿、盤、段皿、高台付盤
●甑
●鉢類…鉢、片口鉢
●蓋
●瓶類…瓶子、長頸瓶、淨瓶、平瓶、手付小瓶
●壺類…壺、長頸壺、小形壺、把手付堝、広口壺
●椀類…椀、高台付埦、埦、盌
●その他…水注、羽釜、不明

萱田遺跡群全体の器種別出土土器数をグラフにすると次のようになります。

萱田遺跡群の器種別出土土器数

器種別には坏類が最も出土数が多く次いで甕類となります。

坏類は個人別に利用(所有)される食器と考えます。
墨書土器の大半は坏類になっています。

甕類は飲料水・料理用水・その他の生活用水の保存機能と調理機能を有していて、竪穴住居単位に備えられていたと考えます。

皿類は食器として利用されたと考えます。

甑は甕類・蓋と併用して蒸し器として使ったと考えます。

次に遺跡別に器種別出土土器数グラフをつくってみました。

白幡前遺跡の器種別出土土器数

井戸向遺跡の器種別出土土器数

北海道遺跡の器種別出土土器数

権現後遺跡の器種別出土土器数

上記グラフでは遺跡毎の器種別違いを見つけることはできるのですが、あまり明瞭ではありません

そこで、器種別割合を比較する表とグラフをつくってみました。

萱田遺跡群出土土器の器種別割合(%)

遺跡別出土土器の器種割合

坏類の割合は4つの遺跡であまり変わらないのに(57.7%~61.8%)、甕類の割合は4つの遺跡でかなりの差があります(24.3%~31.0%)、皿類も差が大きくなっています(5.1%~11.1%)。

詳細はゾーン別検討によって器種割合の一定さ(坏類)や変化(甕類、皿類)の様子を検討します。

現時点ではつぎのように予想を立てています。

甕類は飲料水を蓄え、またカマドでの調理道具であり、生活に不可欠であり、生活レベルの高低に関わらず竪穴住居ごとに基本セットが必ず常備されていたと考えます。また大型であるため予備品を備えることも少なかったと考えます。
一方他の器種は生活レベルの高低によって所持されたりされなかったり、予備品の所持があったりなかったりする製品であったと考えます。

ですから、生活レベルの低い遺跡(北海道遺跡)では全体の土器数が少ないため、竪穴住居毎に必ず装備される甕類の割合が他遺跡と比べて最も高くなった(31.0%)と考えます。

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