2015年9月2日水曜日

萱田遺跡群検討第3ラウンドの構想

花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.4〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路の検討>3.4.195 萱田遺跡群検討第3ラウンドの構想

8月の末からGIS操作技術について集中検討して、幾つかの基本的あるいは自分にとって比較的高度な操作を習得することができました。

そのGIS技術を萱田遺跡群検討に適用すれば第3ラウンド検討を行うことができると展望を持ちました。

そこでGIS技術を適用した萱田遺跡群第3ラウンド検討の構想をメモしておきます。

なお、当面は鳴神遺跡など気になる他の遺跡検討を行い、萱田遺跡群第3ラウンド検討はその後に予定します。

●萱田遺跡群第3ラウンドのイメージ
1 遺物別データベースの作成およびGIS上での遺物分析
次のような遺物毎に発掘調査報告書からデータベースを作成し、位置情報を付与し、GISで扱えるようにします。
位置情報は遺構の位置を最初に取得し、それに基づきます。
時期が判明しているものは時期を記載します。
・銙帯
・墨書土器(既存データベースを利用)
・ハマグリ
・紡錘車
・鎌、釘等
・刀子
・鏃
・土器
・その他の特記物等

これらの遺物について発掘調査報告書及び他の論文等の記述を確認しつつ、時期別空間特性を分析します。

2 遺構別データベースの作成およびGIS上での遺構分析
2-1 遺構そのもののデータベース作成
次のような遺構毎に発掘調査報告書からデータベースを作成します。位置情報及び判明している場合は時期を記載します。
それによりGIS上で時期別空間的に扱えるようにします。
・竪穴住居
・掘立柱建物
・土坑
・その他

これらの遺構について発掘調査報告書及び他の論文等の記述を確認しつつ、時期別空間特性を分析します。

2-2 遺構別遺物データベース作成
遺物項目毎にデータベース(位置情報付与済み)を集約して遺構別遺物データベースを作成します。(必要に応じて作成)

3 ゾーン別データベースの作成およびGIS上での活用
3-1 ゾーン区分の修正
これまでの検討で幾つかのゾーンについて発掘調査報告書のゾーン区分の再検討が必要なものが判ってきていますので、ゾーン区分について再検討して、ゾーン区分の修正を行います。

3-2 遺物別データベース、遺構別データベースのゾーン別データベースへの集約
遺物別データベース、遺構別データベースを集約して、ゾーン別データベースを作成します。

4 データベースを活用した萱田遺跡群空間特性の把握
以上のデータベース及び遺物・遺構の時期別空間特性分析を活用して次のような視点から萱田遺跡群の空間特性を把握します。
・ゾーン機能(ゾーンが萱田遺跡群で果たしている役割)の変遷を具体的にあぶり出す。
・ゾーン機能(ゾーンの役割)の検討の中で、ゾーンに居住した集団のミッション、生業、権力・財力の強弱等社会的特性をできるだけ具体的に推察する。

5 第3ラウンド検討の狙い
自分が仮説する花見川-平戸川筋が「古代東海道水運支路」であったという考えを補強する材料を得るための検討です。

白幡前遺跡は「802年初夏に田村麻呂が俘囚アテルイを連れて平安京に戻る途中に逗留した下総で最大級の軍事・兵站基地である」と想像しています。

田村麻呂とアテルイが白幡前遺跡に実際に逗留したかどうかは別として、白幡前遺跡が8世紀後半から9世紀前半にかけて陸奥国と平安京の間にある最大級の軍事・兵站基地であったことを証明するために第3ラウンドの検討を行います。

考古歴史専門家は全て、白幡前遺跡は一般農業集落(開墾集落)であると口をそろえていますが、その見立てに修正が必要なことを第3ラウンドで明らかにしたいと思います。

位置情報付遺物・遺構データベースをつくり、GIS上で時期別空間分布を知ることができれば、発掘に関わった専門家が得た感覚(遺構・遺物情報から生まれる空間的感覚)と類似した感覚を得ることができるのではないかと考えます。

そしてGISならではの、位置情報付多量情報を処理する高度な空間分析が効果的に実施できれば、発掘の素情報を知っただけでは決して得られないような新発見的情報を得られることがあるかもしれないと想像(期待)します。

少なくとも、その価値の大きさが期待するほどのものになるかどうかは別にして、GISによる効果的空間分析がこれまでにない新しい情報を生み出すことは確実だと思います。

萱田遺跡群の位置 基図地理院地図色別標高図
Google earthによる

萱田遺跡群の位置 Google earthによる

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