2015年10月9日金曜日

鳴神山遺跡の墨書土器文字「万」の分布

花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.4〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路の検討>3.4.220 鳴神山遺跡の墨書土器文字「万」の分布

鳴神山遺跡出土墨書土器文字で「万」に関連する文字は次のようなものがあります。

1遺構だけから出土する文字…上万、酒万、工万
多数遺構から出土する文字…七万、千万、万、中万

多数遺構から出土する文字「七万」「千万」「万」「中万」は同じ遺構から一緒に出土する例が多いので、全く無関係の文字ではなく、相互に関連性をもった「万」であると考えます。

この事実から、「万」の文字を共通祈願語として使う集団が存在し、その亜集団(支族、分派)がそれぞれの文字を使っていたと考えます。

ここで、「上万」が出土する遺構から、同時に「本家」が出土しています。
この事実から「万」を使う集団の本家が「上万」であると考えました。
2015.09.23記事「鳴神山遺跡の墨書土器2」参照

万(よろず)一族という集団が存在して、上万という本家筋が存在し、その下に酒つくりをするもの(酒万)、建設土木をするもの(工万)があり、支族(姻戚筋)として「七万」「千万」「万」「中万」が存在していたと想像しました。

万(よろず)一族の分布は次の通りとなります。

文字「上万」「酒万」「工万」出土分布図

文字「七万」出土分布図

文字「千万」出土分布図

文字「万」出土分布図

文字「中万」出土分布図

万(よろず)一族の分布は集落全体に及んでいます。

同時に万(よろず)一族は名称から見る限り細分化が進んでいます。細分化が進んでいるということは、集団が多機能を有し、それが集団構造に反映しているのだと思います。

また、本部(本家)を有しているのですから強固な組織性を有しています。

まだ空想の域を出ませんが、「大」「大加」集団と「依」集団は実労働集団としての中核部隊であり、「万」集団はそれらの中核部隊をより高い次元からサポートあるいは管理運用するような機能(支配的機能)を持っていたという印象を受けます。

このような見立てがどの程度の蓋然性があるか、今後さらに検討を加えます。


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