2016年5月7日土曜日

口承から文字表記への転換時代の小字群統合分離イメージの改定

2016.05.06記事「小字表記「大谷」を中心とする小字群の統合分離イメージ」で表記「大谷」関連小字群について、モデル図として「小字表記「大谷」を中心とする小字群の統合分離イメージ(2016.05.05作業仮説)」を作成しました。

そのモデルを念頭に、読み系統の分布図を作成し、想像と直観を含めて大胆な検討を行いました。

その結果、小字読み「オオタニ」、「オオザワ」、「ダイサク」は「オオサク」から二次的に派生したものであることが判りました。

「オオサク」のサク(裂く)という言葉が中世~近世初頭頃の文字を書けるようになった庶民には、谷に近い概念であるということが理解できなかったのだと思います。

サクが判らなかったので、耕作民になじみのある漢字「作」をあてたり、「オオサク」を「大いに栄える」と理解して、「大栄」の当て字をしたものもあります。

「オオヤツ」については口承から文字表記に、いわばすんなり以降しています。

この検討により、早速モデルを改定しました。

小字表記「大谷」を中心とする小字群の統合分離イメージ(改定) (2016.05.06作業仮説)

この図は、口承から文字表記時代に転換する時代の「大谷」関連小字の統合分離イメージのモデルを示したものです。

口承時代にの祖小字は「オオヤツ」系統と「オオサク」系統の二つがあったと考えます。

「オオヤツ」系統は弥生時代以降の水田耕作中心社会で発生した、水田耕作と関連する地形表現地名であると考えます。

「オオサク」系統は旧石器時代・縄文時代の狩猟中心社会に発生した、狩猟と関連する地形表現地名であると考えます。

「オオサク」の意味が農耕民には理解しがたく、「オオサク」の音は残しても翻訳(当て字)は「大作」などにしたり、音が「オオタニ」、「オオザワ」、「ダイサク」に変化し、文字も地形表現から完全に外れてしまっています。

さて、このモデルで「オオサク」を「大谷」と翻訳(当て字)している場合があります。

翻訳(当て字)をする人々が「オオサク」のサクを裂くと理解し、谷をイメージできているということです。

この翻訳(当て字)をした人々が特段思考力があったとか、教養が深かったということではないと思います。

この翻訳(当て字)をした人々が旧石器時代・縄文時代の、つまり狩猟時代の言葉や文化を伝承してきている人々である可能があります。

その分布を見てみます。

次に「オオサク」の分布を表記文字の色を変えて表現しました。

小字読み「オオサク」の分布

「オオサク」をのサクを漢字谷で表現する小字の分布が小地域の集中しているように見えます。

「ダイサク」も「オオサク」起源ですから同じような分布図を作成してみました。

小字読み「ダイサク」の分布

「ダイサク」のサクを谷で表現する小字の分布はほぼ「オオサク」のそれと一致します。

この二つの分布図からサクを谷で表現する小字(赤点)だけ抜き出して、拡大表示すると次のようになります。

小字「オオサク」「ダイサク」でサクを谷で表現するもの

小字「オオサク」「ダイサク」でサクを谷で表現する小字は香取市、多古町、匝瑳市の3市町境界付近を密にして集中的に分布していて、さらに山武市、大網白里市にも見られます。

この結果から、このブログの大胆仮説の一つとして、「小字「オオサク」「ダイサク」でサクを谷で表現する小字分布域付近は、中世~近世初頭頃まで狩猟時代の言葉や文化を伝承していた人々が残っていた。」を設定します。

さらに想像を加えれば、中世~近世初頭頃まで狩猟時代の言葉や文化を伝える人々がこの地域に残存していたとするならば、それは香取神宮との関わりが強く関係していたと考えます。








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