2016年8月28日日曜日

上谷遺跡 主要墨書文字による遺構レベルゾーン区分

上谷遺跡の主要墨書文字「得」「西」「竹」「万」の主な出土遺構を全てプロットすると次のような図になります。

上谷遺跡 主要墨書文字「得」「西」「竹」「万」の主な出土遺構

各文字の出土領域はある程度まとまっていますが、思った以上に入り組んで分布している様子も見られます。

得と万は相互に混じり合い、西と竹も相互に混じり合うことが多いように感じますので、得と万、西と竹の関係は密かもしれません。

この分布から遺構レベルでゾーン区分すると次のような図になります。

上谷遺跡 主要墨書文字「得」「西」「竹」「万」による遺構レベルゾーン区分

同じ祈願文字を共有する集団が単純に、空間排他的に分布するのではなく、一部で空間的に入り組んで分布しています。

しかし、その様子を遺構レベルで排他的分布図として表現してみました。

このような特性、つまり空間排他的に表現すると島状分布が現れるという特性に着目したいと考えます。

今後の遺物出土状況の統計集計ではこの墨書文字による遺構ゾーンレベル区分を使ってみることにします。

なお、得の集中出土域付近に万だけでなく、西、竹も出土します。

得集中出土域近くの西出土遺構では多文字土器も出土していますから、西の支配層がこの付近に居を構えていたことになります。

空想以外のなにものでもありませんが、墨書文字集団「得」が他の集団より頭一つ抜きんでていて、他の3集団の指導層も「得」の本拠地に居を構えていたのかもしれません。

また発掘区域西端に得、西、万が出土していて、特別な理由があると考えます。

その特別な理由は発掘区域の西側にあるので不明であると考えます。


主要墨書文字から一般的イメージ的に空間ゾーン区分を行うと次のようになります。

上谷遺跡 主要墨書文字「得」「西」「竹」「万」による空間ゾーン区分(イメージ)

空間イメージはこのように捉えて間違いないと考えますが、出土遺物の統計等はこの空間ゾーンではなく、遺構レベルゾーン区分で行いたいと考えています。


以前の記事で竪穴住居と掘立柱建物分布に基づいて集落内ゾーン推定図を作成しました。


参考 上谷遺跡 集落内ゾーン推定
A、B、C、D、E、Fは竪穴住居の集中域、a、b、c、dは掘立柱建物の集中域、1、2,3は土坑集中域
2016.08.18記事「上谷遺跡 集落ゾーン区分推定」参照

この記事で行った主要墨書文字による遺構レベルゾーン区分は、上記集落内ゾーン推定図を精緻化したものであると考えます。





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