2016年9月18日日曜日

墨書文字「竹野」は竹集団の牧部隊をあらわす

2016.08.31記事「上谷遺跡 養蚕関連墨書文字」では養蚕関連墨書文字に着目しましたが、この時、野が牧であることが判りました。

その時の情報を再整理すると次のようになります。

A036竪穴住居出土多文字墨書土器からわかった事柄

墨書文字「野」は上谷遺跡では竹野として出土します。

竹野は竹の亜集団のような印象でこれまで検討してきました。

竹野は竹集団の一部であると想定してきました。

ここで、野が牧を意味するとなれば、竹野が竹集団の牧部隊である可能性を推察できます。

竹野の出土遺構を調べると次のようになります。

墨書土器 竹野

竹野の分布はこれまで検討してきた牧関連遺構と関連あることがよくわかります。

(牧関連遺構遺物のまとめは次の記事で行います。)

一方、竹野を除く竹の分布と、竹野の分布を調べてみました。

墨書土器 竹と竹野

竹の出土と竹野の出土が重なる遺構はありませんでした。

また竹分布は竹野分布を包摂するような形状になります。

これから、竹が親集団で、竹野が竹集団を構成する亜集団であることの推察の蓋然性が高まります。

参考 竹と竹野の例

次にヒートマップを作成してその分布中心の違いを確認しました。

墨書土器 竹野ヒートマップ

分布に中心は馬具出土遺構付近になります。

墨書土器 竹ヒートマップ

分布の中心は掘立柱建物密集地付近になります。

野という文字が牧を意味していることから、竹野は竹集団の中の牧部隊であると想定して間違いなさそうです。

この推定から、竹野という文字出土に直接対応してイメージできる空間をピックアップしてみました。

墨書土器竹野に対応する野(牧)イメージ

牧に関する各種情報があつまってきましたので、次の記事でそれを集成してとりまとめてみます。


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●メモ 竹と竹野の関係から浮かび上がる鳴神山遺跡の大と大加の関係再検討の必要性

竹という集団の牧専門集団が竹野という文字を使ったと考えると、鳴神山遺跡の大集団と大加集団の関係について再検討する必要が出てきました。

これまで、大加は大の亜集団であると考え、加は加勢の加であると考えてきました。応援部隊というイメージでした。

しかし、大加が「母集団の文字+生業を表現する文字」という関係かもしれないということが竹野から示されたのです。

加(読みカ?)と表現できる生業があるか、それが遺構や遺物等の情報と整合するか、再検討します。

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●メモ 竹の意味

上谷遺跡の主要4集団の文字「得」「万」「西」「竹」の意味はこの遺跡検討の最後で行うつもりです。


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