2016年12月28日水曜日

千葉県遺跡データベースの活用可能性

1月から私家版千葉県歴史・地名GISデータベースの構築と活用学習をスタートさせますが、この記事ではデータベースの構成要素としての千葉県遺跡データベースの強力な「威力」一端を確認しておきます。

1 「威力」確認 その1

遺跡情報を時代別にプロットしてみました。

千葉県遺跡分布図

この分布図ではドットが密集してしまい、その密集度合があまりよくわかりません。

そこで、密集度合を相対的に赤→青の順に色分けして、ヒートマップとして示しました。

千葉県遺跡分布ヒートマップ

各時代の遺跡密集地が赤色で示されます。

この赤色地域はその時代の社会活動密集地であり、人口密度が高い地域であり、縄文時代以降は建造物密集地であり、つまり政治や行政・権力・文化の集中地域であるといって過言ではありません。

旧石器時代の赤色地域は主要な狩猟ゾーンを示していて、東日本で最大規模の狩場です。

縄文時代の赤色地域は東京湾岸から印旛沼にかけての台地を中心に分布しているものが最大で、そのほか下総台地に展開しています。

弥生時代になると様相がかわり、市原、袖ヶ浦、木更津などに赤色地域が広がります。

古墳時代には市原、袖ヶ浦、木更津、君津などが赤色地域の中心になります。

奈良平安時代になると、再び下総台地の赤色地域が展開し、それまでの市原、袖ヶ浦、木更津、君津などがさびれます。

中世には富津に赤色地域が現れます。

このように時代別にみると、社会の中心地域がダイナミックに変化している様子が遺跡データベースからわかります。

これだけでも詳しく分析検討する価値があります。

2 「威力」確認 その2

遺構別分布例として、古墳分布図と横穴分布図を作成しました。

古墳分布図

横穴分布図

この2つの分布図をよくみると、その密集地がお互いの密集地を避けています。

古墳分布と横穴分布がきれいに「棲み分け」しています。

横穴を作った集団がどのような集団であるのか、詳しいことが判っていないようですが、古墳を作ったその時代の社会支配層とは別の集団が存在していたことの可能性を感じ取ります。

詳しい検討はしていませんが、遺跡データベースを活用すると、これまであまり表に出てこなかった事象に気がつくことが出来そうです。

このような「威力」のある千葉県遺跡データベースをその一翼とする私家版千葉県歴史・地名GISデータベースの学習を始めたいと思います。

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