2017年1月23日月曜日

忘備メモ 白幡前遺跡瓦塔出土分布の意義

1 夢の内容

今朝(2017.01.23 早朝)夢の中で以前検討した白幡前遺跡(*)について、瓦塔出土分布が発掘調査報告書で「ばら撒かれているようだ」と記述されていることについて「何故か?」と検討していました。

白幡前遺跡出土瓦塔
千葉県の歴史 資料編考古3 から引用

蝦夷戦争に関連した時代につくられたと想像する国策仏教寺院に納められていた瓦塔がバラバラに壊され「廃棄」され、「ばら撒かれているようだ」と記述されていることを思い出し、尋常なことではないと感じました。

発掘調査報告書では竪穴住居覆土層出土物は全て「廃棄物」として扱われています。

夢の中で、もしかしたら房総に移配された蝦夷戦争の俘囚の反乱の一つの結果ではないだろうかと空想しました。

支配者サイドが信仰世界で大切にしている瓦塔を、反乱俘囚がわざと壊してぶちまけ、反乱の気概を示している…。

2 目覚めてからの思考

瓦塔が「ばら撒かれているようだ」と記述された根拠は次の図に示すようにいくつかの隣接遺構から同一瓦塔の部材が出土していることによるものです。

白幡前遺跡の瓦塔出土状況

俘囚蝦夷が反乱を起こし、白幡前遺跡にも乱入し、寺院を破壊し、瓦塔をばらまいたという空想は一つのロマン(?)ではありますが、分布図をみるとあり得ないことです。

暴動で大切な瓦塔が壊されて「ばら撒かれた」としても、それが3つの廃絶竪穴住居の覆土層と道路遺構から出土することはあり得ません。

瓦塔を壊した俘囚がその破片をあちこちの廃絶竪穴住居の穴に放り込んで廻るという行為はあり得ません。

「ばら撒かれているようだ」という印象記述は覆土層出土物は廃棄物であるという思考とともに根拠のないものであることが、夢から覚めた自分には直観できました。

3 白幡前遺跡瓦塔出土分布の意義(見立て)

白幡前遺跡瓦塔出土分布の意義を次のように見立てました。

蝦夷戦争時代につくられた国策仏教寺院に瓦塔が納められていて、人々の信仰を深める物として大切にされていた。

蝦夷戦争後国策仏教寺院が廃絶した。

同時に寺院関連施設(竪穴住居)も廃絶した。

寺院関連施設(竪穴住居)つまり僧侶等の住居が廃絶したとき、竪穴住居跡で祭祀(法事、法要、回忌)が行われ、瓦塔片が穴に納められた。

竪穴住居覆土層から瓦塔片が出土するのは、壊された瓦塔が廃棄物としてばら撒かれたのではなく、反対に、信仰の対象として大切な物であったが故に、祭祀における重要なお供え物になったと見立てました。

前後の記事と関係ないメモですが、上谷遺跡学習で芽生えた問題意識(竪穴住居覆土層出土物はほとんど全て祭祀のお供え物)に関連するので忘備のために記事にしました。

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* 2015.04.20記事「八千代市白幡前遺跡 「村落内寺院」は存在しない」など

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