2017年5月8日月曜日

後期集落竪穴住居の柱穴予察検討

大膳野南貝塚 中期末葉~後期中葉 後期集落竪穴住居の柱穴予察検討

中期末葉~後期中葉集落竪穴住居は93あります。その柱穴分析は数が多く労力がかかるため、予期するような成果を生みだしそうかどうか予察検討してみて、その検討により作業の実施を判断することにしました。
面積の大きいもの、小さいもの、中間のものを6つ選んで、前期後葉集落でおこなったのと同じ方法で分析してみました。

予察検討対象

発掘調査報告書に記載されてる通りの分類で柱穴を色分けしてみました。

面積の大きいもの

J52号住居祉

J41号住居祉

面積の小さいもの

J8号住居祉

J47号住居祉

面積の中間のもの

J37号住居祉

J75号住居祉

考察
1 構造柱
前期後葉集落の竪穴住居は壁柱とは別に竪穴内に主柱穴が存在していたのですが、中期末葉~後期中葉集落の竪穴住居では主柱穴と呼ばれるような柱は存在しないようです。
壁柱と張出部柱が構造柱であるようです。
J37では「中心に位置するもの」が存在します。発掘調査報告書では柱と明示していません。これが構造柱であるか、次述する非構造柱穴であるか興味が湧きます。

2 非構造柱穴
J75竪穴内の説明の無い柱穴は非構造柱穴であると考えられます。
その分布はシンメトリーを感じることができることも踏まえ、次のような竪穴住居廃絶後の故人送りのおける祭壇である可能性を感じます。

J75 非構造柱穴が竪穴住居廃絶後の祭壇である可能性

J75が祭壇設置であるとすれば、略北方向を拝むことができる祭壇です。
北極星信仰の関わるものかもしれません。
前期後葉集落J50号住居祉と類似の祭壇になります。

参考 前期後葉集落J50 祭壇空想図
2017.04.19記事「竪穴住居廃絶時の祭壇跡か」参照

J37の中心に位置する柱穴は珍しい構造柱(大黒柱)かもしれませんが、竪穴住居上屋が取り払われた後の送り場を象徴する柱(吹き流しなどの設置柱)かもしれません。

J37の例やJ75の例が観察できましたので、93竪穴住居全部について柱穴分析を行ってみることにします。

なお、柱穴分析は出土物検討と一緒に行った方が遺跡理解を深めると考えますので、出土物に関する着目竪穴住居について随時行い、竪穴住居の検討の最後には全部の竪穴住居の柱穴分析が済むようにします。

0 件のコメント:

コメントを投稿