2017年10月2日月曜日

西根遺跡出土「杭」はイナウ 面取り部存在の確認

西根遺跡出土「杭」(縄文時代後期)写真を観察すると面取り部の存在を確認しましたので記録しておきます。

1 面取り部の確認作業

面取り部の確認作業1(訂正後 2017.10.04)
面取り部の確認作業1(訂正前)

面取り部の確認作業2

面取り部の確認作業3

A面、B面をくまなく観察して面取り部(つくりだされた平面)はA面、B面各1箇所確認できます。
B面下の枝を掃っている部分(空洞になっている部分)も結果として平面になりますが、意味のある平面とは考える必要はないと思います。

A面B面における面取り部の存在は、今後の検討において、この製品用途がイナウであることの証明に使える重要要素の一つになると考えます。

なお、面取り部に小孔が4つあります。
小孔はこれ以外にも存在していて、この製品の重要構成要素であると考えますので、次の記事で検討します。

2 参考 面取り部のあるイナウ

樺太の面取り部があるイナウ
北原次郎太「アイヌの祭具 イナウの研究」(2014、北海道大学出版会)から引用

3 参考 消印
イナウ構成要素として「消印」という概念があります。

イナウ構成要素
「消印⑫:イナウの胴を削って、平面を作り出し、その上下に水平に刻印を数条つけたもの。名取武光によれば、平面部を「イナウコトル」、上下の刻印を合わせて「コトルイトクパ」と呼ぶ。消印が刻まれた面がイナウの正面とされる[名取 1987(1959):84]。樺太の全域で確認されている。」
北原次郎太「アイヌの祭具 イナウの研究」(2014、北海道大学出版会)から引用

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追記
2017.10.04記事内容を一部訂正しました。

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