2017年12月1日金曜日

大膳野南貝塚 廃屋墓から祭祀跡がみつかるか?

2017.07.23記事「竪穴住居跡送り場のイメージ」からのつづき記事になります。

大膳野南貝塚の縄文時代後期集落竪穴住居跡に祭祀用柱(イナウ、ヌササンなど)跡と推定できる柱穴を紙上発見できるのでないかと疑ってきています。
西根遺跡出土物にイナウが見つかったので大膳野南貝塚で発見できる可能性は濃厚であると考えてきています。

この記事では後期集落の全ての廃屋墓(10軒の竪穴住居)について柱穴色分け図を作成してみました。

1 大膳野南貝塚後期集落の廃屋墓分布

大膳野南貝塚後期集落の廃屋墓分布

2 柱穴色分け図
2-1 加曽利E4~称名寺古式期

J88

発掘調査報告書では機能不明柱穴はありません。

2-2 称名寺~堀之内1古式期

J77

発掘調査報告書では機能不明柱穴はありません。

2-3 堀之内1式期

J67

発掘調査報告書では機能不明柱穴が家屋内と家屋外に存在します。
家屋内機能不明柱穴が東西に並んでいて、北に向かって拝む祭壇の可能性を感じます。
出入口付近の機能不明柱穴もこの場所が送り場であることを示す標識の柱である可能性を感じます。

J95

発掘調査報告書で機能不明柱穴が家屋内と家屋外に存在します。


J74

発掘調査報告書で機能不明柱穴が家屋内に多数存在します。

J79

発掘調査報告書で機能不明柱穴が家屋内に存在します。
北側の機能不明柱穴は少し斜めですが、北向きに拝む祭壇の可能性を感じます。

J18

発掘調査報告書で機能不明柱穴が家屋内と家屋外に存在します。
家屋内の機能不明柱穴は北向きに拝む祭壇の可能性を感じ取ります。
J9

発掘調査報告書で機能不明柱穴が家屋内に存在します。
機能不明柱穴の配列は北向きに拝む時の祭壇の可能性を感じます。

2-4 堀之内2式期

J40

発掘調査報告書で機能不明柱穴が家屋内に存在します。

J11

発掘調査報告書で機能不明柱穴が家屋内と家屋外に存在します。

3 検討の方向
10軒の廃屋墓竪穴住居のうち8軒の廃屋墓竪穴住居で機能不明柱穴が見つかりました。
8軒のうち4軒の機能不明柱穴の並びが、北を向いて拝むときに設置するであろう祭壇の柱の並びのように観察することができます。
この10軒の機能不明柱穴の分布だけでシッカリとした判断をすることはできませんが、廃屋墓竪穴住居に祭祀用柱が存在していた可能性を思考する合理的根拠を得ることができたと考えます。
(2017.12.02追記 祭祀用柱が建てられた(祭壇が建設された)時期は、住居としての役目を終えた後、家屋構造物の中に建てられた場合と、家屋構造物が撤去あるいは焼却された後の穴に建てられた場合の双方が存在したのではないかと前期集落の柱穴分析から想像しています。)

次の記事でこのデータを使って分析を深めてみることにします。

なお、機能不明柱穴には次の要素が含まれ得ると考えています。
1 祭祀用柱(イナウ、ヌササンなど)の柱穴
2 当該竪穴住居の構造柱の柱穴
3 重複竪穴住居の構造柱の柱穴
4 当該竪穴住居の乾燥施設の柱穴(2017.12.03追記)

祭祀との関わりが薄いと考えられる竪穴住居(出土物がほとんど無いものなど)についてこの記事と同様の柱穴色分け図を作成して廃屋墓竪穴住居と統計的比較すると、廃屋墓竪穴住居データの意味が浮かび上がるかもしれないと考えていて、順次作業をしてみることにしています。

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