2018年1月9日火曜日

獣骨出土数と漆喰貝層有無別竪穴住居との関係

大膳野南貝塚後期集落の出土物による竪穴住居検討 4

獣骨出土数と漆喰貝層有無別竪穴住居との関係を観察します。
大膳野南貝塚から出土する獣骨はイノシシが最も多く、次いでシカであり、その2種でほとんどを占めます。その他の哺乳類や鳥類・爬虫類等は極限られた出土となっています。

1 立体グラフによる関係把握

大膳野南貝塚後期集落 竪穴住居からの獣骨出土数 1

大膳野南貝塚後期集落 竪穴住居からの獣骨出土数 2

・獣骨出土はほぼ漆喰貝層出土竪穴住居からに限られている様子が観察できます。
・漆喰貝層出土竪穴住居でも獣骨出土数が多いのは数軒程度に限られていて南貝層が多く、北貝層にもあります。

2 統計による把握

大膳野南貝塚後期集落 獣骨出土竪穴住居の割合
獣骨が出土する竪穴住居を調べると漆喰貝層出土竪穴住居では65.8%(25軒/38軒)、漆喰貝層非出土竪穴住居では12.7%(7軒/55軒)となります。

大膳野南貝塚後期集落 竪穴住居からの平均獣骨出土数
漆喰貝層出土竪穴住居のほうが圧倒的に獣骨数が出土しています。漆喰貝層出土竪穴住居は土質の理化学的条件により獣骨が保存されやすいので、このような結果になった可能性もあり、漆喰貝層非出土竪穴住居にもともと獣骨がすくなかったかどうかは不明であると考えおきます。

大膳野南貝塚後期集落 漆喰貝層出土竪穴住居からの獣骨出土数
同じ漆喰貝層出土竪穴住居でも獣骨数が100を超えるものは8軒だけであり、獣骨が沢山出土する竪穴住居とあまり出土しないあるいは全く出土しない竪穴住居との差異の理由について今後検討していくことにします。

3 考察
他の条件(石器種類など)から検討することによって漆喰貝層非出土竪穴住居ではもともと獣骨がすくなかったらしいとの推測が可能かどうか今後検討します。

……………………………………………………………………
注 2018.02.25
この記事で使った獣骨出土統計は一部間違っていますので後日訂正します。なお検討の大要はこの記事の通りです。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿