2018年2月28日水曜日

竪穴住居重複の様子 大膳野南貝塚後期集落

大膳野南貝塚後期集落の出土物による竪穴住居検討 33

2018.02.27記事「新発見 貝塚における異なる生業2集団の共存 大膳野南貝塚後期集落」で生業が異なる2集団共存の根拠事象の1つに竪穴住居重複の様子をあげました。
これまで竪穴住居重複の詳しい検討はしてこなかったので、この記事でデータを分析します。

1 竪穴住居重複の様子

重複の様子 1
竪穴住居93軒のうち1軒と重複するものが22、2軒と重複するものが20、3軒4軒と重複するものがそれぞれ3となり、合計48軒(52%)が重複します。
他遺跡の同じようなデータを知りませんのでこの数値の専門的な評価はできませんが、大変混みあった集落であったことは確実です。祖先が廃絶祭祀を行った竪穴住居の存在を知りながら、かつ廃屋墓であることも知りながら、出来るだけそれらを避けながら、しかしかなり大胆にそれらを切って(重複させて)新たな竪穴住居を建設しています。

重複の様子 2
漆喰貝層有竪穴住居と漆喰貝層無竪穴住居ではそれぞれだけで重複するものが18、13と多く、混在するものは17となります。漆喰貝層有竪穴住居と漆喰貝層無竪穴住居が混在する重複竪穴住居は重複竪穴住居の35%にすぎません。
この事実は漆喰貝層有竪穴住居家族と漆喰貝層無竪穴住居家族が別集団であり、異集団の廃絶竪穴住居は侵さないという不文律があったに違いありません。両者の緊張をはらんだ関係が存在していたを物語っていると考えます。

2 竪穴住居重複の分布

竪穴住居重複の分布
漆喰貝層有竪穴住居どうしの重複および漆喰貝層無竪穴住居どうしの重複がそれぞれ特定域に固まっていて、漆喰貝層有竪穴住居家族と漆喰貝層無竪穴住居家族がそれぞれ異なる別集団に属していたと想定することを支持する分布図となっています。
一方、漆喰貝層有竪穴住居と漆喰貝層無竪穴住居が混在して重複する域の存在は両者の関係が敵対に至るような排他性ではなかったことを示していて、両者の間に一定の交流(婚姻等)があったことを物語っていると考えます。

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