2018年4月24日火曜日

貯蔵土坑平面断面図の観察 その2

大膳野南貝塚後期集落 土坑の再検討 29

貯蔵・保存穴として推定した63基土坑の深さを深いものから浅いものに順番に並べて観察したみました。そのうち深さが大きいもの半分の観察結果は2018.04.23記事「貯蔵土坑平面断面図の観察」で書きました。この記事ではそれ以外の半分の浅いものについて観察します。
なお、ここで観察しているのは一次用途(土坑建設時の用途)に着目して観察しています。一次用途が貯蔵土坑であっても二次用途(土坑廃絶時の用途)が送り場となるものが多くありますが、その検討は別途行います。

貯蔵土坑 深さ0.5m~0.99m その2

貯蔵土坑 深さ0.5m~0.99m その3

貯蔵土坑 深さ0.5m以下
規模の大きな貯蔵土坑には次の5つの特徴を観察することができました。
1 深い土坑がある。
2 平面形状は円形やそれに近いものが多い。
3 出入口が備わっているものが多い。
4 くびれが備わっているものが多い。
5 底部に排水溝が備わっているものが多い。排水溝は底部中央にピット状になっているものと、底部縁辺円周溝として備わっているもの(断面図図示は不明瞭なものが多いが中央部が盛り上がっているので排水機能を看取できる)の2種類がある。

深さが1mより浅くなるとその特徴が明らかに不明瞭になります。
総合的に判断して貯蔵土坑と推定したにも関わらず平面形状では203、271、259a、54、11は異形です。
また出入口、くびれ、排水溝という特徴を読み取れないものが増えます。
一方柱穴と考えられるピットを備えたものが含まれます。
平面・断面的に異形のもの、柱穴を備えたものは送り場土坑にごく普通に見られますから、上記推定貯蔵土坑には送り場土坑が含まれているかもしれません。一次用途について、貯蔵土坑と送り場土坑の境を明瞭にひくことは今後の課題です。

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