勝田川流域紀行5 勝田川の河川改修
勝田川谷津(谷底平野とそれに面する谷壁斜面と台地面)は水田耕作がされていて、また斜面樹林も残っています。里山の自然風景、自然環境が残っています。一日中散歩者が絶えません。
この勝田川谷津が河川計画、緑地計画、都市計画、道路計画などでどのように位置づけられているか、WEBから得られる資料やヒアリング等によって見ていきたいと思います。
最初のこの記事では、勝田川の河川改修について、千葉市からいただいたパンフレットを参考に見てみたいと思います。
●勝田川改修の経緯(パンフレット「千葉市の河川」(平成15年3月)より)
勝田川はその源を千葉市小深町地先に発し、北西市境を流下し、横戸町地先で印旛放水路に合流する流域面積20.24平方kmの河川です。下流部では土地改良(土地改良区昭和41年度設立)による改修、維持管理が行われてきましたが、近年上流の市街地化により、降雨時に下流部で溢水被害が頻発化するようになり、土地改良区による管理が困難になりました。そこで、市にその管理が移管され、流域4市(千葉市、佐倉市、八千代市、四街道市)で協議会を設立し、整備を進めているところです(名称=勝田川改修協議会:規約締結昭和54年4月1日)。協議会管理区間は6783mで、4市で協議のもと千葉市が事業主体となって維持管理を行ってきたところですが、平成6年7月に印旛放水路~宇那谷町4号橋 (3590m)が一級河川に指定されたことにより、平成6年度から都市基盤河川改修事業を導入し、改修を進めているところです。
●勝田川河川改修ステージ
河川改修のステージは次のように整理されます。千葉市下水道局建設部都市河川課に電話ヒアリングして初めてわかりました。このようなステージステップを踏まなければならないのは、勝田川が合流する印旛放水路(花見川)の改修ステップに歩調を合わせる必要があるためという説明がありました。
・現況:平成23年現在すでに消滅している過去の状況です。(毎年溢水)
・暫定改修:平成23年現在工事が終了して、新たに現出した状況です。(3年に1回溢水)
・一次改修:暫定改修の次に工事する状況です。(10年に1回溢水)
・本格改修(将来):最終的な工事でつくる状況です。(50年に1回溢水)
●計画諸元
ここで、「暫定改修」とは平成23年現在工事がほぼ終了した河道の状況です。「本格改修」とは将来の最終的な工事でつくる状況です。
勝田川改修計画諸元
●標準断面図
この標準断面には現況(「現況」という文字記述はありませんが、細線で河道断面が表示されています)と一次改修断面(草が生えている断面)、将来改修断面(緑色ハッチで表示される断面)が表示されています。平成23年現在工事がほぼ終了した「暫定改修」河道の状況は表現されていません。
勝田川河川改修 標準断面図
●完成イメージ
本格改修(将来)の完成イメージのスケッチが2点パンフレットに掲載されていますので転載します。
勝田川完成イメージスケッチ
パンフレット「一級河川勝田川」(千葉市)から転載
堤防天端に散歩者が描かれていることは「花見川流域を歩く」散歩人としてうれしいことです。ここの描かれた散歩者がそのまま花見川のサイクリング道路に出て散歩できるような状況がいつか生まれることを願います。
●暫定改修の姿
朝日が当たる前のまだ薄暗い時に撮った写真ですが、暫定改修の姿が現出しましたので掲載します。
暫定改修の姿(平成23年3月30日撮影 東海道付近)
平成21年9月の姿(東海道付近)
電話ヒアリングで、高水敷の状況を安定させるまでのために、木製の柵を低水路との間に設置したとのことを知りました。昨年の出水で木製柵が損壊している部分が既にあります。
また、堤内地からの小規模排水口が高水敷表面に直接流れていて、溝がないところが多くなっています。排水が高水敷表面を自由に流れている状況は改修された河川では余り見かけません。私は高水敷土中に礫間浄化施設でもあるのかと思ったのですが、ヒアリングで特段の仕掛けがないことがわかりました。
現在の状況(平成23年5月の勝田川の状況)はあくまでも「暫定改修」であり、あるべき姿に至る途上の1ステップとして捉える必要があります。
勝田川を散歩する人も多く、非利害関係者で河川(改修)に興味を持つ人も多いので、現場にわかりやすい河川改修の説明があると、河川事業に対する周辺市民の理解が進むと思います。
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