横戸1谷津に焦点を絞ってその縦断形を検討しました。
1 横戸1谷津の谷筋確認
次の図は旧版1万分の1地形図の谷筋線図で横戸1谷津を示しています。
谷筋線と等高線交点に印を付け、「レトロな」方法で縦断面図を作成できるようにしました。
横戸1谷津の位置(旧版1万分の1地形図谷筋線図)
旧版1万分の1地形図は大正6年測量
等高線の分布から横戸1谷津の形状は東側の谷津と比べてより浅いことが特徴です。
2 横戸1谷津谷筋の現代地図投影
次の図は現代地図(DMデータ)に上記谷筋線を投影したものです。
横戸1谷津の位置(DMデータ)
DMデータは千葉市提供
この図から、横戸1谷津の位置は、下流側はこてはし団地の中を通り、柏井浄水場の南端をかすめ、中流部は千種町の千葉鉄工業団地を通りその南の住宅地に抜けていることがわかります。
3 横戸1谷津の縦断面図作成
上記2の「横戸1谷津の位置(DMデータ)」図面をカシミール3Dで5mメッシュデータ(標高データ)と組み合わせて表示し、谷筋の現代地形における縦断面図を作成しました。
縦断面図には1で得た旧版1万分の1地形図の等高線交点情報による大正6年地形の縦断線も記入しました。
横戸1谷津の縦断面図
現代地形はカシミール3D+5mメッシュによる
現代地形断面は宅地開発にともなう人工改変の影響を受けています。
また、旧版地形図による地形断面は、詳細な検討において測量精度上の問題があることに留意する必要があります。
こうした条件を理解して上記縦断面図を見ると、この図は横戸1谷津のマクロな縦断形を知るうえで貴重な情報であると考えられます。
4 3Dイメージ図作成
上記地形断面図を検討する補助資料として2で作成した「横戸1谷津の位置(DMデータ)」図を3Dレリーフに被せるような3Dイメージ図を作成しました。
横戸1谷津の3Dイメージ図
カシミール3D+5mメッシュにより3D化
5 横戸1谷津縦断面図の解釈
1~4の情報を踏まえ、横戸1谷津縦断面図を次のように解釈しました。
横戸1谷津縦断面図の解釈
ここで注目すべきは、小崖1の南側で横戸1谷津の縦断勾配が本来の北下がりの勾配から南下がりの勾配に変化していることです。
地殻変動に伴う小崖1の成立に際して、その南の地形面が相対沈下しただけでなく、南に傾斜したことを確認できます。
もし、小崖1ができた時の地殻変動でその南の地形面が相対沈下しただけで、南に傾斜しなかったなら、崖下が凹地になり、そこに湖沼ができたりあるいは集まった水が逃げ場を求めて崖に沿った東西方向の流路ができたと考えます。
小崖1に沿って東西性の流路ができなかった(あるいはそこに湖沼ができなかった)ことは、小崖1の南側が本来の谷津勾配を逆転させて南に傾斜させるほどの大きな傾動があったことを示していると思います。
6 横戸1谷津に関わる河川争奪の新発見
上記縦断勾配図に「小崖2に起因する河川争奪による横戸川編入」の注釈をいれました。
横戸1谷津に関わる河川争奪を新たに発見しましたので、引き続き別記事で説明します。
つづく
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