ローム層の下部に東京軽石層を確認できた横戸の河岸段丘地形がどのように分布しているのか、次の順番で検討し、記事を連載します。
1横戸河岸段丘に関連する既往文献紹介
2北方向(勝田川方向)の分布
3南方向(花見川沿い)の分布
1横戸河岸段丘に関連する既往文献紹介
ア 杉原(1970)紹介
次の図は杉原(1970)原図の「下総台地西部における地形面の分布」図です。
下総台地西部における地形面の分布
「千葉県の自然誌 本編 千葉県の大地」(千葉県発行)より引用
原図(モノクロ)は「杉原重夫(1970):下総台地西部における地形の発達、地理学評論43-12」収録
上図の一部を拡大して横戸河岸段丘の位置を示すと次の図になります。
「下総台地西部における地形面の分布」図における横戸河岸段丘の位置
「下総台地西部における地形面の分布」図には、もちろん、横戸河岸段丘そのものは表示されていませんが、それより北の勝田川沿いに「千葉段丘」が図示されています。
杉原(1970)では分布図は「千葉段丘」とひとくくりにしていますが、文章では次のように「千葉段丘」を千葉第1段丘と千葉第2段丘の二つに区分して検討しています。
下総台地西部の地形:地質概念図
「杉原重夫(1970):下総台地西部における地形の発達、地理学評論43-12」収録
概念図中の記号TPは東京パーミス(東京軽石層)の略号です。
この概念図と対比させると、横戸河岸段丘は東京軽石層がローム層下部に確認されているので、千葉第1段丘に対比されます。
イ「八千代市の歴史 資料編 自然Ⅱ」紹介
「八千代市の歴史 資料編 自然Ⅰ」(八千代市発行)及び「同 自然Ⅱ」(八千代市発行)に花見川流域を含む地域の地形地質の充実した記述が掲載されています。
そのうち「八千代市の歴史 資料編 自然Ⅱ」の8~9ページに掲載されている「八千代市周辺の地質」図を紹介します。
八千代市周辺の地質
「八千代市の歴史 資料編 自然Ⅱ」(八千代市発行)8~9ページ掲載
この図の中にTp段丘とAT段丘の分布が記載されています。
Tp段丘は武蔵野ローム層の下部にある「東京軽石層(Tp)」を乗せる段丘、AT段丘は立川ローム層中の「姶良-Tn火山灰(A-T)」を乗せる段丘として次の図のように説明されています。
地形断面の模式図
「八千代市の歴史 資料編 自然Ⅰ」(八千代市発行)78ページ掲載
Tp段丘とAT段丘は杉原(1970)の千葉第1段丘と千葉第2段丘に対比できます。
「八千代市周辺の地質」図の一部を拡大して横戸河岸段丘の位置を示すと次の図になります。
「八千代市周辺の地質」図における横戸河岸段丘の位置
「八千代市周辺の地質」図では、横戸河岸段丘は認識されていないため表示されていません。
花見川河岸は「上岩根層」、「木下層」、さらに「常総粘土層+武蔵野ローム層+立川ローム層」の分布のみが記載されています。
横戸河岸段丘は東京軽石層を乗せていることから、Tp段丘(=千葉第1段丘)に対比され、その分布域に隣接していることが判ります。
横戸河岸段丘の面的分布がTp段丘とどのように連続するものか、次の記事で検討します。
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