前記事2012.4.26「発見した古河川河道のまとめ」で述べたように、花見川筋に発見した、勝田川と合流する古河川をこのブログでは古柏井川と呼んでいます。
花見川と古柏井川の分水界の位置について、次の記事ですでに詳述してあります。
2011.2.2 花見川上流紀行15堀割普請前の花見川谷頭その1
2011.2.3 花見川上流紀行16堀割普請前の花見川谷頭その2
この2つの記事で検討した要点を整理すると、次の通りになります。
1 印旛沼堀割普請前に作成された「小金牧周辺野絵図」(※)に花見川最上流部の水田、内野(※※)分布が表現されている。
2 水田と内野の地形はそれぞれ谷津谷底と斜面・台地に対比できる。
3 水田と内野分布形状と地番割図の地番割を対比することができる。
4 地番割図をGIS上にプロットできる。
5 従って水田と内野分布すなわち谷津谷底と斜面・台地の分布をGIS上にプロットできるので、実際に作業して、プロットした
6 その結果、花見川谷底、谷頭源頭部、谷中分水界の位置を把握した。
※「絵にみる図でよむ千葉市図誌 下巻」ではこの絵図について1676年成立の高津新田が見られないことからそれ以前の作成と推測し、「17世紀中葉か」とコメントしています。
※※柏井内野と書かれた柿色の部分は柏井村が囲った野(原野、入会地)という意味です。
小金牧周辺野絵図(部分)
千葉県立中央図書館所蔵
引用者によるメモ書き込み
「絵にみる図でよむ千葉市図誌 下巻」(千葉市発行)より転載
印旛沼堀割普請前の地形分布
以上の検討結果をより理解しやすく表現し、引き続く検討の基礎資料とするために、谷中分水界付近の地形縦断図を作成してみました。
(5mメッシュとカシミール3Dを活用することにより、ワンタッチで正確な地形断面図が作成できるようになりました。)
地形縦断線位置図
地形縦断線A-Bは印旛沼堀割普請の捨土の土手を避けた台地西岸の地形縦断線です。
地形縦断線C-Dは現在の花見川河道中心線付近の地形縦断線です。
印旛沼堀割普請前の花見川源頭部付近谷底縦断イメージ
印旛沼堀割普請前の谷底の高さは、花見川サイドでは前谷津(A付近の花見川支流)の谷底の高さが参考になります。ここは堀割普請で掘削されていません。
古柏井川サイドでは鷹之台ゴルフ場河岸段丘の高さが参考になります。
この2つの高さを参考に印旛沼堀割普請前の花見川源頭部付近の谷底縦断を、類似の東京湾水系源頭部地形を参考にイメージしてみました。
古柏井川の横断地形はまだ検討していませんが、仮に古柏井川に谷底面(段丘面)を掘りこむ谷が発達していなかったと仮定すれば、大ざっぱな話ですが、次のような算数が成り立ちます。
現在の花見川西岸地形縦断の高さ-古柏井川谷底縦断の高さ=印旛沼堀割普請前の古柏井川谷津の深さ
古柏井川谷底縦断の高さ-現在の花見川谷底縦断の高さ=印旛沼堀割普請と戦後開発の総掘削深
この谷底縦断イメージ図は、古柏井川を南に追跡して、柏井付近から南に分布する河岸段丘の対比をする際の、検討の出発点になります。
また、印旛沼堀割普請の実際を把握する上でもその検討の出発点になります。
(このイメージ図が結果として正確でないにしても、この情報を使って思考を出発させることができます。それにより、これまで気がつかなかった事柄に気づき、検討を深めることができます。そして、巡り巡ってこのイメージ図の見直しも可能になると考えます。)
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