私の散歩論

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2013年7月8日月曜日

千葉市小字図(タイプ印刷)を実見する

花見川地峡の自然史と交通の記憶 24

千葉市中央図書館で「千葉市小字図(タイプ印刷)」(和田茂右衛門著、1978)[コピー製本]を実見しました。
B4版で背の厚さが5cmほどある大冊です。

千葉市の小字は「絵にみる図でよむ千葉市図誌」上・下巻(千葉市発行)に町別に分布図が掲載されていますが、全体分布図がもしかしたらこの書に出ているかもしれないと考え閲覧したものです。

残念ながら千葉市域全体の1枚の小字分布図はありませんでした。内容は、町別の小字分布図と小字リスト(発音ルビ付き)が中心の資料で、町名由来や支配関係情報等も詳しく記述されている資料です。
「絵にみる図でよむ千葉市図誌」や「千葉市史史料編」の元資料となったものであることは一見してすぐにわかります。

小字情報は「絵にみる図でよむ千葉市図誌」や「千葉市史史料編」と比べて発音が出ていることや、より現場に密着していると考えられる情報(現在の公式字名表現とは異なる表現等)が掲載されていて、小字の由来等を考える上で貴重な情報であることがすぐにわかりました。

例えば柏井町の「芦太」という小字は、数年前にある市の教育委員会職員が「アシブト」と発音して、「?」と感じていたのですが、この資料で「アシダ」とルビがふってあり、さらに「芦田」という表記まであり、発音に関する疑問が氷解しました。

「千葉市小字図(タイプ印刷)」(和田茂右衛門著、1978)は千葉市の小字について深い検討をおこなう際には必ず参照しておくべき資料であると感じました。

和田茂右衛門先生(18981983)の調査熱心さは次の文章で知っていましたので、この書が先生自身の手で調査され、タイプされ、謄写印刷され、必要とする関係者に無償で配布されたことを、実物(のコピー)の前で実感しました。

先生の調査のための走破距離は、数字にあらわせないほどの天文学的数字に達しました。しかも調査は江戸時代の古文書はいうまでもなく、金石文の調査、道標、石仏の徹底調査、市内の町名および小字名の調査と調査対象はひろまる一方でありました。殊に、ほとんどが独力で調査に専念し、古文書の影写の仕事から発展して、ついには中古のタイプライターを購入して自らこれを操作しました。そして次からつぎへと謄写印刷で史料集を発行し、ひろく市民や研究者、各種研究機関に無償でこれらを配布しました。先生の書庫には、いつの間にか、こうして謄写印刷で完成した史料集がうず高くつまれるようになり、いつもこれを大勢の人々に無償配布して、先生自身大いに生きがいを感ずるという生活でありました。」(「社寺よりみた千葉の歴史」(千葉市発行、あとがき)

なお、この図書(コピー製本)を千葉市中央図書館では3冊所蔵しているのですが、全て禁帯出になっていて、帯出利用できませんでした。

この図書を帯出し、自宅パソコン(3画面)にGIS画面、グーグルアース画面等をいくつか広げ、机上には「絵にみる図でよむ千葉市図誌」等を広げ、そうした中でこの「千葉市小字図(タイプ印刷)」を利用することを希望するのですが、叶いません。




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