私の散歩論

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2013年9月17日火曜日

マユのツバは拭いてください(千葉市内断層横ずれ130mは真)

花見川流域の小崖地形 その26

千葉市の市街地に縦ずれ3mもの断層があり、その横ずれは130m以上あるという観察をこのブログで記事にしています。

縦ずれ3mは小崖地形が現地にあり、ボーリング資料で地層のズレを示しているので、読者の方には理解していただいていると思います。

横ずれ130m以上はマユツバものの情報であると半信半疑の方もいらっしゃのではないでしょうか。

この記事で、マユのツバを拭いていただければ幸いです。

D地区(花見川東岸の千種町や三角町付近)の印旛沼水系谷津の横ずれが130m程度あり、同じような横づれがC地区(花見川西岸の花見川、作新台、長作台付近)にあるか、芦太川の谷津を対象に検討します。

1 これまでの検討
次の平面図とボーリン資料はこれまでの検討結果です。

20134月における花島小崖(花島断層)の理解
基図は千葉市都市図(1960年測量、千葉市立郷土博物館提供)

ボーリング資料

花島小崖の分布イメージを明らかにし、その小崖地形と地層のズレが対応していて、確かに断層があり、小崖は断層崖であることを理解しました。

この情報に間違いはありません。
この情報に次の情報を追補します。

2 芦太川谷津谷底の横づれ
次の平面図はこの付近が開発される前の1960年に航空写真測量された地図です。
谷津の形状を理解しやすくするために標高24m26m等高線を強調しました。

千葉市都市図
1960年測量、千葉市立郷土博物館提供

この地図をよく見ると谷中分水界付近(道路が放射状に延びている付近、※)の地形が異常であることに気がつくと思います。

※ 谷中分水界そのものの検討は2011.12.28記事「谷中分水界の発見」など多数

地図の上から下に芦太川谷津に沿って視線をたどると、谷中分水界付近で谷津の前に谷壁が立ちはだかって蓋をされてしまっているように見えます。
不思議な地形であることは感じていましたが、どうしてそうなのか、これまで理解できませんでした。

しかし、芦太川を横切る断層があり、その横づれが130mあるはずだという情報を念頭にこの異常な地形を眺めると、次のような地形であることが理解できました。

芦太川谷底の横づれ
基図は千葉市都市図(1960年測量、千葉市立郷土博物館提供)

芦太川谷津の谷底が横づれしているから、このような異常な地形がうまれ、谷中分水界が生じたのです。
横づれは約140mですから、D地区で得た横ずれ成分の値130mと整合的な値です。

花島断層の横づれ成分が130mとか140mとかの値であることはこれで間違いのない情報になったと思います。

参考までに、千葉市都市図に現在の地形段彩図(開発後の現在の地形)をオーバーレイして表示すると次のようになります。

参考 千葉都市図に地形段彩図をオーバーレイした地図

この地図からも芦太川谷底の横ずれを直感的に理解していただけると思います。
(現在の地形段彩図がどの程度開発前地形を表現しているものか十分わからなかったのですが、団地開発等による地形改変は、断層横づれを消し去るような大規模なものではなかったようです。)

3 花島断層の理解
さて、横ずれの存在は分かったのですが、縦づれの断層線ルートとこの横づれのルートは約250m離れます。

この断層線ルートが複数あるということは、以前から想定していましたが(※※)、思考を複雑化しないために、当面する思考では略してきていました。

※※ 2012.02.09記事「小凹地列状分布と小崖1の解釈」参照

しかし、断層線ルートが複数あるという情報が確かに突きつけられたので、これからは思考の範囲内に含めていくことにします。

花島断層の縦ずれと横ずれのルートが違うという現実の情報を次の図のように理解します。

花島断層の理解(2013.09.17
基図は千葉市都市図(1960年測量、千葉市立郷土博物館提供)

縦ずれに特化した断層ルートと横づれに特化した断層ルートが分岐してしまった部分が生まれているという理解です。

この理解を標準地図に投影すると次のようになります。

花島断層理解の標準地図投影
標準地図は電子国土ポータルによる

マユのツバは拭いていただけたでしょうか?

つづく


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