私の散歩論

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2014年5月4日日曜日

花見川河川争奪の成因検討 その2(地理的位置関係)

シリーズ 花見川地峡成立の自然史 -仮説的検討-
第2部 花見川河川争奪に遡る その16

河道逆行争奪と名付けた通常の河川争奪とは異なる原理(動的河川争奪)に基づく花見川河川争奪がなぜ発生したか、その成因を検討します。

花見川河川争奪の主な成因は次の2に集約できます。

●花見川河川争奪の2つの主成因
成因1 地殻変動による印旛沼水系谷津の変位
成因2 花島-柏井ライン谷津(印旛沼水系)の発達性と東京湾水系との地理的位置関係

この記事では「成因2 花島-柏井ライン谷津(印旛沼水系)の発達性と東京湾水系との地理的位置関係」について検討します。

次の図は花見川河川争奪のステージを示したものです。

花見川河川争奪の模式段階

ステージ1からステージ2にすすむ理由は2014.05.02記事「花見川河川争奪の成因検討 その1(地殻変動)」で既に説明しました。

ステージ2からステージ3に進む理由は次のような考えで合理的に説明することができます。

花見川河川争奪の成因 2つの水系のV字谷の地理的位置関係

東京湾水系で頭方侵蝕によりV字谷が北上している筋(ライン)は沢山ありますが、花見川筋を除くと全て上記モデルのケースAに該当します。
つまり、花見川筋以外の東京湾水系は印旛沼水系のV字谷と遭遇していません。

ところが花見川筋では争奪した谷津内に印旛沼水系V字谷の地形(千葉第2段丘)が残っています。つまりここでは東京湾水系が印旛沼水系V字谷に遭遇していることが確認できます。
東京湾水系の頭方侵蝕と印旛沼水系の頭方侵蝕が正面からぶつかると、高度が低い東京湾水系の侵蝕力が必ず勝ります。

このように、花見川筋だけで河川争奪(河道逆行争奪)が生じた理由(成因)を、2つの流域のV字谷の地理的位置関係で説明することができます。

2つの流域のV字谷の範囲が重なるような地理的位置関係が生じれば河道逆行争奪が生れ、そうでなければ河道逆行争奪は生れないと考えます。

次の図は現在地形のV字谷(頭方侵蝕)前線をしめしたものです。

2つの水系のV字谷(頭方侵蝕)前線

A地点は千葉第2段丘形成の時代に東京湾水系と印旛沼水系のV字谷(頭方侵蝕)の最前線がぶつかったところです。

花見川筋では東京湾水系のV字谷と印旛沼水系のV字谷の分布が遭遇する地理的位置関係が千葉第2段丘面形成の時代に生じたのです。結果、河道逆行争奪が発生しました。

花見川筋以外では東京湾水系と印旛沼水系のV字谷(頭方侵蝕が行われているところ)は遭遇していません。結果、河道逆行争奪は発生しません。

なお、この前線図を見ると、河川争奪前は東京湾水系V字谷はほぼ直線状に分布していて、印旛沼水系V字谷は花見川筋で南に凸に出ているように見ることができます。

つまり花見川筋で河川争奪が発生した成因の成分の中で、より強く関係している成分は印旛沼水系V字谷の分布特性です。

印旛沼水系で花見川筋のV字谷の発達が良い理由は、その筋に千葉第1段丘、下総下位面の谷津が代々形成してきたことによると考えます。

つまり、河川争奪前は花見川筋がこの付近の印旛沼水系(=勝田高津レーキ、2013.12.01記事「勝田高津レーキのモデル対応」参照)の本流筋であったためであると考えます。

花見川筋が勝田高津レーキの本流筋であったことは花見川筋がレーキを構成する平行河川の中央に位置している(花見川筋と平戸川(新川)筋が直結連続している)ことからも首肯できます。

(この記事で花見川筋とは、天戸-柏井-横戸を結ぶラインを指しています。)

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