私の散歩論

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2014年5月12日月曜日

印旛沼筋河川争奪の見立て(仮説)

シリーズ 花見川地峡成立の自然史 -仮説的検討- 
3部 印旛沼筋河川争奪に遡る その1

このシリーズでは、東京湾と香取の海の間の土地を花見川地峡という概念で把握し、その成り立ちの自然史を検討しています。

「第1部 現代から縄文海進まで」、「第2部 花見川河川争奪に遡る」に続き「第3部 印旛沼筋河川争奪に遡る」をこの記事からスタートします。

3部では香取の海の重要構成要素である印旛沼がそのために成立することになった、印旛沼筋河川争奪という地史上の大イベントについて検討します。

最初にこの記事で印旛沼筋河川争奪に関する見立て(仮説)を示し、次の記事からその細部についてわかってきていること、検討していることや課題など、経過報告的になってしまいますが、述べます。

1 印旛沼筋河川争奪の見立て(仮説)
現在(2014.05.12)の印旛沼筋河川争奪の見立て(仮説)を次に表でまとめてみました。

印旛沼筋河川争奪の見立て(仮説)
項目
内容
名称
印旛沼筋河川争奪
関係場所
千葉県白井市、船橋市、八千代市、千葉市、四街道市、印西市、佐倉市
関係河川
争奪河川:鹿島川
被奪河川:古平戸川
争奪原理
動的河川争奪又は湖沼域争奪
(オーソドックスな河川争奪原理と異なる。)
争奪タイプ
河道逆行争奪
(これまでに花見川河川争奪でのみ発見された珍しい河川争奪タイプである。)
河川争奪であることの証拠
1 印旛沼水系のパターン異常(白井市、八千代市付近)
2 下総下位面の分布形状
3 下総下位面構成地層の高度分布や層相
河川争奪の成因
次の項目について検討中。
1 地殻変動による古平戸川のダムアップ
2 鹿島川河床の相対的低下

(地形に反映する多数の隆起軸・沈降軸・断層や規模の大きな陥没地形(オタマジャクシ状凹地)など複雑な地殻変動がみられる。これらの地殻変動が印旛沼筋河川争奪にどのように関わるのか検討中。)
河川争奪の地形面モデル
検討中(下総下位面を細分類して、それによりモデルを作成中)
河川争奪時期
下総下位面形成時代(千葉第1段丘の時代にはすでに現在と同じ水系網が成立していた。河川争奪が完了していた。)
関連文献
・印旛沼筋河川争奪に言及した文献はない。
・常総粘土層堆積期(下総下位面形成時代)の印旛沼筋流向を現在と真逆に思考して作成された古地理図が「菊地隆男(1980):古東京湾、アーバンクボタNO18」に掲載されている。(河川争奪前の古地理を表現している情報。)
・約10万年前(下総下位面形成時代)のオリジナル古地理図が「千葉県の自然誌 本編2 千葉県の大地」(1997、千葉県発行)に掲載されている。この古地理図では古利根川の分流が印旛沼筋を現在と同じ方向に流れている。この古地理図の作成手法や裏付けデータを著者に確認し吟味したことを踏まえて、この古地理図は間違っていると考える。

2 印旛沼筋河川争奪のイメージ
印旛沼筋河川争奪見立てのイメージを次に示します。

印旛沼筋河川争奪の水系イメージ


つづく

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