私の散歩論

ページ

2014年5月9日金曜日

上ガスの季節変動は農業活動に起因する

1 記事の訂正
2014.04.29記事「上ガスの季節変動とその原因」における、上ガスの季節変動の原因に関する次の記述を訂正しました。

ガスを含む地層を流れる地下水の水位が春から夏にかけて高く、晩秋から冬にかけて低く、その変動が花見川上ガスの盛衰として表現されているのだと思います。

訂正文
地下水の水位が春の田植えの時期に取水井付近で低下し、それを補うために周辺の地下水が取水井付近に流れ込む現象が起きるのだと思います。つまり、地下水流動が活性化するのだと思います。流動化する地下水の中にガスを含んだ地層水が含まれているため、春から夏にかけて上ガス現象も活性化するのだと思います。

2 地下水位の季節変動
次に、花見川付近の地下水位変動図を示します。

八千代・習志野・四街道地域の地下水変動図(2003年~2005年)(千葉県地質環境インフォメーションバンクによる)

井戸諸元
井戸
観測井戸設置場所
深度(m)
ストレーナー位置(m)
習志野-1
習志野市藤崎
145
116.2 132.8
習志野-2
習志野市藤崎
235
206.8 223.4
内陸W-1
習志野市東習志野町 工業団地鉄塔
180
168 180
八千代-1
八千代市村上 八千代市歴史民俗資料館
60
28 44.5
八千代-2
八千代市村上 八千代市歴史民俗資料館
170
126.5 148.5
八千代-3
八千代市村上 八千代市歴史民俗資料館
250
168 195.5
Yo-1
四街道市南波佐間 旭中学校
100
61.5 72.5
Yo-2
四街道市南波佐間 旭中学校
150
117.5 134
千葉県地質環境インフォメーションバンクによる

●地下水位変動期間
地下水位の変動期間は変動のない八千代-1を除きすべての井戸で4月~10月となっています。どの井戸も4月に入って急激に低下するので田植えのために水田に水を張るための取水の影響だと考えて間違いないと思います。

●深度別地下水位変動幅
地下水位変動幅について花見川に近い八千代-1、八千代-2、八千代-3を見てみます。
八千代-1は深度60mの観測井戸ですが、水位の季節変動はほとんどありません。この深度の地下水は農業用水として取水されていないか、あるいは取水されても河川(新川)から涵養されるため水位低下しないのだと思います
八千代-2は深度170mの観測井戸ですが、年間の水位変動は2005年で5m以上あります。この深さの井戸の地下水位低下が最も大きくなっています。
八千代-3は深度250mの観測井戸ですが、水位変動の水位変動は2005年で4m程あります。八千代-2より変動幅が小さくなります。

花見川とはすこし離れますが、習志野市藤崎のデータでは、深度145mの習志野-1の方が深度235mの習志野-2より地下水位の季節変動が大きくなっています。

これらのデータから、深度100m200mの間の地下水の水位変動が大きく、この深度の地下水が農業用水のメインとして取水されているものと考えます。

●農業用井戸の深度
花見川付近の農業用井戸の深度は調べていませんが、千葉県全体では農業用井戸の深度は100m199mのものが圧倒的に多くなっています。

千葉県全体の農業用井戸深度別取水量(農林水産省、平成153月)

花見川付近つまり新川谷津や勝田川谷津の農業用井戸の深度もおそらく100m~199mのものが多く、そのためにその深度の井戸の水位変動が最も激しいことと対応するものと考えます。

3 上ガス季節変動の原因仮説
花見川における昨年から今年にかけての上ガス盛衰観察と地下水位変動グラフが、私の感覚ではピタリと一致します。
この時期の一致から上ガスの季節変動の原因を次のように仮説します。

地下水の水位が春の田植えの時期に取水井付近で低下し、それを補うために周辺の地下水が取水井付近に流れ込む現象が起きるのだと思います。つまり、地下水流動が活性化するのだと思います。流動化する地下水の中にガスを含んだ地層水が含まれているため、春から夏にかけて上ガス現象も活性化するのだと思います。

深度100m200m付近の地下水の流動が最も激しいようですが、その地下水流動と上ガス現象との間にある詳しいメカニズムはこれから検討していくつもりです。
あえて想像すれば、深度100m~200m付近にガスを含む地層水が存在し、その地層水が流動化して地下を流れる際に、花見川川底付近を通るため、その場所で一部が湧出するのかもしれません。

上ガスが地下水の流れと地層の姿を物語る「情報」であることに気がついたことになります。

今後、花見川付近の上ガス現象、農業取水活動、地下水データ、地層データ等の間の密接な相関について検討して、上ガス発生メカニズムをつきとめたいと思います。


0 件のコメント:

コメントを投稿