第3部 印旛沼筋河川争奪に遡る その11
2014.06.05記事「印旛沼筋河川争奪成因モデルのフィールド対比」で、争奪河川の河道(下総下位面B面)が上流に行くほど標高が低くなり、それは地殻変動によるものだと述べました。
そこで、この記事では、本当に地殻変動の影響であると言えるのか確認するために、思考実験を行ってみました。
1 下総下位面A面、B面の標高把握作業
GIS上で多数の測線を引き、地形断面図を作成して、それにより下総下位面A面とB面の標高を計測しました。
地形面の標高はその付近の平均値とし、結果は0.5m刻みで得ました。0.1m単位の情報ですから将来、もっと精度を上げて計測することは可能です。
次の絵はGIS作業風景です。
GIS作業風景(標高のメモ)
2 下総下位面A面、B面の標高把握結果
次に下総下位面A面、B面の標高把握結果を示します。
下総下位面A面、B面の標高
下総下位面A面は測点1~7では手賀沼方面に傾いています。
測点8~12ではデータが不足しています。
測点13~18では印旛沼出口方面に緩やかに傾いているように見えます。
測点19は値が異常のように感じます。
下総下位面B面は測点1~13では手賀沼正面に傾いています。
測点14~18では水平のような印象を受けます。
測点19は値が異常のように感じます。
3 思考実験
次に思考実験の結果を説明図にしました。
まず、下総下位面A面、B面の標高分布図を傾けました。
これは、地殻変動の影響を除いて、本来あった当初の相対的地形面高度を復元するという意味です。
次にこの傾けた標高分布図が河川争奪仮説と整合するか検討してみました。
結果は争奪前古平戸川水系の下総下位面A面は手賀沼方面へ傾斜し、争奪前鹿島川水系の下総下位面A面は印旛沼出口方面へ傾斜します。また、争奪後鹿島川水系の下総下位面B面は印旛沼出口方面へ傾斜します。
つまり、河川争奪仮説を支持する結果となりました。
下総下位面B面が上流に向かうほど標高が低くなるという矛盾は、地殻変動で説明できる可能性があることをこの思考実験が示します。
この思考実験は河川争奪仮説を支持する一つの材料となります。
また、河川争奪後の地殻変動の概要を直接示唆しているものと考えます。
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