第4部 下総台地形成に遡る その9
関東北東部の活曲動と活褶曲の概要を学習し、いよいよ下総台地の局所的特徴的変動地形の検討に入ります。
ここで局所的特徴的変動地形とは小崖(断層)、オタマジャクシ状凹地(沈降)、地溝、レーキ(沈降軸起因の水系パターン)、変動地形起因特殊侵蝕形等のことで、活褶曲地形の部分構成物であると考えるものです。
この検討を行うに当たって、有力検討ツールである地形段彩図を体系的に整備して、検討をスムーズに行えるようにしましたので、報告しておきます。
1 効果的地形段彩図の要件
これまで5メッシュを使った様々な地形段彩図を、具体的な検討課題毎に、それにふさわしい区分で作成してきました。
その体験から、次のような地形段彩図が使い勝手が良いものであることが判ってきています。
●下総台地の地形検討で使い勝手のよい地形段彩図の要件
ア 地形段彩の刻みは1m毎がよい
0.1m単位まで細かく刻むことが出来ますが、0.1m単位では人工の影響が強く出てしまいます。また表現できる範囲が著しく狭くなります。(使用しているGISである地図太郎PLUSでは20区分までしか表現できないため)
0.5m単位で表現すると地形の細部がよくわかるのですが、垂直方向10mの範囲しか表現できません。垂直方向10mを超える地形は沢山あるので、結局不自由します。
2m単位や5m単位にすると、地形の細部が判らなくなってしまいます。5mメッシュを使う意義が減少します。
結局1m単位の刻みの使い勝手が体験的に一番よいです。
イ グラデーションの色区分に工夫が必要
グラデーションを使うと地形の大勢を知ることができます。しかし例えば淡い色(例薄緑)の類似色は識別が困難で、地形の詳細を認識できない場合があります。
一方、グラデーションを使わないで刻み毎に別の色を入れると地形の細部がとてもよく判る場合があります。しかし、時として地形の大勢を見失ってしまうことがあります。
従って、グラデーションを保持しながら、類似色の識別ができるような色使いをつくる工夫が必要があります。
なお、グラデーションの基準となる色は3色が最も効果的です。2色のグラデーションでは類似色を沢山つくると識別できませんから地形の大勢を知ることしかできません。
3色を基準にすると、色の配列順番にある方向性を持たせることができます。その方向性と標高高低を直感的に対応させることが出来ます。
4色以上を基準とすると、地形の複雑さが増した場合、色の方向性が崩れ地形の大勢がわかりにくくなります。
ウ 複数の地形段彩図の併用が必要
アとイから、広域について(標高の差が大きい範囲について)検討する時にはどうしても1枚の地形段彩図では検討しきれなくなります。従って複数の地形段彩図の併用が必要となります。
2 整備した地形段彩図システム
1の要件を備えた地形段彩図を、次のような色区分により10枚作成し、これらを一つのシステムとして使うことにしました。
10枚の地形段彩図の色区分
隣り合った地形段彩図は色区分9区分(9mの区分)をオーバーラップさせて作成しています。
作成した地形段彩図
作成した地形段彩図
作成した地形段彩図
作成した地形段彩図
これからは、検討対象とする地形毎に最適な地形段彩図を使って検討することとします。
地形段彩図の切り替えは、GIS上で「段彩設定の読込」により切り替えることができます。
約2.6億のメッシュを対象にしていますが、表示切替時間は15秒程ですからあまり気になりません。
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