私の散歩論

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2015年11月12日木曜日

千葉県北部の小字密度

小字地名データベース作成活用プロジェクト 31

小字密度の市町村区分より詳しい分布状況の様子を知るためにアドレスマッチングで分布図を作り、それからヒートマップを作ってみました。

千葉県北部小字(46577件)のアドレスマッチングプロット

46577の小字が2131のポイント(略大字分布になります)に集約されてプロットされています。

1プロットは平均22小字が重なっている勘定になります。多いプロットは3桁の小字が、少ないプロットは1つの小字から構成されています。

このプロット図から小字密度をイメージすることはできません。

あくまで大字の分布の様子を示しているだけのものです。

千葉県北部小字分布密度図

千葉県北部小字(46577件)のアドレスマッチングプロットから作成したヒートマップです。

赤い部分程小字密度が高く、したがって小字の平均的面積が狭いことを示しています。

一方、青い部分程小字密度が低く、したがって小字の平均的面積が広いことを示しています。

千葉県北部小字分布密度図と色別標高図のオーバーレイ

ヒートマップと地形の状況がわかる色別標高図を重ねると、赤い部分が細密な谷地形地域とぴたりと重なります。

小字が細分されている地域が、細密な谷地形の地域と対応しています。

貴重な情報を得ることができました。

この情報から早速、次の仮説が生まれました。

細密な谷地形の地域は、古代の水田耕作にとっては、その動員できる技術力、人力からして最適の地域であることが予想されます。

現代の技術力や経済の状況から見ると最も非効率な水田耕作地帯になりますが、古代は正反対の評価がされていた土地であると考えます。

大小河川流域の平野と異なり、手狭な谷津では洪水の心配や干天の心配が少なくコントロールしやすい条件がそろっています。

小字密度が高い地域は古代において最初に水田耕作が行われて地域であるに違いないと考えました。

したがって、蝦夷戦争時代における下総国(一部上総国)の最大の穀倉地帯がこの細密な谷地形地帯、つまり小字高密度地域であるという仮説を持ちます。

房総から陸奥国へ運ばれた糧秣の多くがこの小字密集地帯からではないかと想像します。

また、以上の仮説が妥当であれば、この小字密集地帯の小字名が古代にその起源を有する名称であるということになります。

小字名が古代に起源を有するものであるか、近世に起源を有するかということはある程度判別できそうな印象を持っていますので、その点から検討しても上記仮説の妥当性検討に迫ることができるかもしれません。

今後この仮説実証に取り組みたいと考えます。

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