私の散歩論

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2015年11月16日月曜日

縄文時代起源と想定する小字 ナガサクとハナワ

小字地名データベース作成活用プロジェクト 33

千葉県北部34市町の小字データベースの試用として、ナガサクとハナワについて予備的な検討をしてみます。

勝手な想像ですが、ナガサクとハナワは縄文時代にその起源を有する小字地名だと想定しています。

1 ナガサク
ナガサクについてデータベースで検索するとその音(よみ)あるいは漢字表記(長作、長谷、永作等)を含む小字が全部で約150抽出できます。

150の中には二次的に派生した小字名(例 長作下、長作台、長作道など)であることが明瞭なものも含まれていますが、この検討では二次的に派生した小字名はその近くに一次的小字が存在している(していた)と考え、厳密さを失いますが、一緒に扱います。

ナガサクをアドレスマッチングでプロットすると次のようになります。

千葉県北部34市町 ナガサク(長作・永作等)を含む小字分布(アドレスマッチングによる)

アドレスマッチングによる分布図ですから、きわめて概括的な分布状況しかわかりませんが、全て台地地域に分布します。(アドレスマッチングの精度上の制約から低地にプロットされているものもありますが、実際は全て台地地域に分布します。)

また、野田市や銚子市付近の台地面が狭まった地域に分布しないのが特徴です。

アドレスマッチングではなく正確なプロットをすると、地形(谷津)とナガサクの関係を検討することができると考えます。

なお、ナガサクという小字地名は、近世に二次的に派生したもの以外は縄文時代の狩猟にかかわる地名であると想定しています。

ナガサクという地名発生を考える上で参考になると考えている縄文時代狩猟遺跡を紹介します。

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参考
千葉市内野第1遺跡縄文時代遺構に見られる土壙列

千葉市内野第1遺跡縄文時代遺構の土壙列の開発前地形における位置

地形を利用した大規模鹿狩りの様子(想定)

この遺跡では長く裂けた谷津を利用して、大規模な鹿狩り(追い詰め落とし穴猟)が行われていたと考えられます。低地から多量の鹿骨が出土しています。

ブログ「花見川流域を歩く番外編」2015.04.20記事「千葉市内野第1遺跡 縄文時代大規模落とし穴シカ猟」等参照
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この参考例のような長く裂けた谷津を利用して行う大規模な狩猟の場所が、縄文時代に(さかのぼれば旧石器時代から)ナガサクとよばれていたと考えます。

(なお、上記参考例の場所にはナガサク地名はありません。)

2 ハナワ
ハナワについてデータベースで検索するとその音(よみ)あるいは漢字表記(花輪、塙等)を含む小字が全部で約150抽出できます。

150の中には低地に分布するもの2つを含め、二次的に派生した小字名(例 花輪下、花輪台など)であることが明瞭なものも含まれていますが、この検討では二次的に派生した小字名の多くはその近くに一次的小字が存在している(していた)と考え、厳密さを失いますが、一緒に扱います。

ハナワをアドレスマッチングでプロットすると次のようになります。

千葉県北部34市町 ハナワ(花輪・塙等)を含む小字分布(アドレスマッチングによる)

アドレスマッチングによる分布図ですから、きわめて概括的な分布状況しかわかりませんが、ほとんどが台地地域に分布します。

また、ナガサクと異なり、野田市や銚子市付近の台地面が狭まった地域にも分布します。

アドレスマッチングではなく正確なプロットをすると、地形(谷津)とナガサクの関係を検討することができると考えます。

ハナワも縄文時代の狩猟にかかわる地名で、台地の鼻(端)を利用した規模の小さな猟の場所を指していると考えます。

ハナワのワはワナのワと通じると考えています。

今でこそワナ(罠)ということばは道具の利用を意味しますが、狩猟時代にあっては、鼻(端)のワ(輪)にナ(菜…食べ物)をおいて動物をおびき寄せて獲った静的な地形利用狩猟方法であったと考えます。

千葉県北部34市町のデータベースだけでも、それを使ってナガサクなりハナワを検討すれば成果を得ることができそうです。

しかし、我慢して千葉県全域の小字データベースを作成してから本格検討したいと思います。

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