私の散歩論

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2016年4月25日月曜日

千葉県出土人面墨書土器の人面は祈願者の自画像

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2016.04.24記事「人面墨書土器の人面は人か鬼か?」で千葉県出土人面墨書土器の人面は、平城京の人面墨書土器が疾病神を現わしているのと異なり、祈願者自身の似顔絵、つまり自画像であることを明らかにしました。

参考までに、千葉県出土人面墨書土器のうち、顔がある程度読み取れるものを全部データベースからピックアップして、本当に自画像であるか、確かめてみました。


千葉県出土主な人面墨書土器(1)
画像は千葉県墨書土器データベースから引用

1は欠け部分が多く判然としませんが、2や4と同じような顔つきのようです。

2は髯を生やして、髪を分けた成人男性の自画像であると考えます。耳が大きく、福耳として描いています。

3は垂れ目福耳であり、穏やかな性格が現れています。

4は髯を1本線で表現しています。この画像だけからは、自画像ではなく、国神を表現しているとも捉えられるかもしれません。

5は顔としてよく認識できません。現物を見ればその相がわかると思います。国玉神を表現しているとも捉えられるかもしれません。

千葉県出土主な人面墨書土器(2)
画像は千葉県墨書土器データベースから引用

6は自画像を仏像に摸して書いたものと解釈します。

7は4人の顔が描かれています。それを拡大すると次のようになります。

4人の顔

4人が登場する物語があるのだと思いますが、画像からは4人の鬼ではなく、年配の男性と若輩の男性、及び別の男2人が描かれているようです。

単純な個人の祈願土器であるかどうかわかりません。

出土遺跡が下総国分遺跡であり、組織活動(行政や宗教活動)に関連しているものと想像します。

組織の人間関係を描いているものと考えます。

描かれている顔は生身の人間であると考えます。(上司と部下など)

千葉県出土主な人面墨書土器(3)
画像は千葉県墨書土器データベースから引用

8は女性が書いた墨書土器のようです。

女性が自画像を書くに当たって、写実的に書くことをいくつかの視点からはばかり、人に見られても問題が生じにくい範囲で書いたものと想像します。

例えば、次のような顔にしたいのだけれども、そのように書くと、自分の本当の美しさが壊れるし、人に見られるとますます恥ずかしいと考えたのだと思います 。

しかし、男性のように自画像入りで神に祈願したいので、自画像をぎりぎりのところで省略してかいたのだと思います。書いてない線は想像で補ったのだと思います。

自分の美しさを省略によって担保したのだと思います。

本当は描きたかった自画像の線書き込み程度(空想)


千葉県出土主な人面墨書土器(4)
画像は千葉県墨書土器データベースから引用

9は、顔中心部以外が欠けているとはいえ、自画像として書いた雰囲気がよく出ています。鬼をこのようには決して書かないと思います。

10は年配指導者の雰囲気がよくでています。

11はヘラ書ですから、土器焼成前に書かれたものです。

土器制作職人自身か、発注者の顔を描いたものと想像します。
鬼の顔なら、その特徴をどこかに書き込むと思います。この顔は人の顔です。


次に人面墨書土器の主な11例のリストを示します。

千葉県出土 主な人面墨書土器リスト

主な人面墨書土器の分布を次に示します。

主な人面墨書土器が出土する遺跡

人面墨書土器は、実際は酔狂で、宴会の席で書いたようなものだと想像しています。

権力と教養と財力を供えている上層階層に属する住民が、自慢とか威厳を示す意味で人面墨書土器を書いたと想像します。

本当の延命とか本当の疾病除けを人面墨書土器に託していたとは、考えない方が正確な判断になると想像しています。

それだけ余裕のある経済的、政治的環境があった場所で人面墨書土器が作られ、その場所が上記遺跡付近であったと考えています。

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