私の散歩論

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2016年6月30日木曜日

私家版千葉県歴史・地名GISデータベースの構築

私家版千葉県歴史・地名GISデータベースの構築が現実化しつつあります。

これまでこのブログでは主なものとして次のデータベースを使ってきました。

千葉県遺跡データベース
千葉県墨書土器データベース
千葉県小字データベース

これら3つのデータベースを個々別々に使うのではなく、GIS上で連動させて、空間上でこれら3つのデータを同時に閲覧(情報取得)できるようにすれば、これまで気が付かなかったことに気が付くことができると考えます。

そこで、この記事では私家版千葉県歴史・地名GISデータベースの構想を検討してみます。

1 データベースの現状と課題
1-1 千葉県遺跡データベース

ふさの国文化財ナビゲーションサイト(千葉県教育委員会)から遺跡に関する次の情報をダウンロードして利用しています。

遺跡数(不明を除いたデータ)は約19500です。

ダウンロードできる遺跡情報項目

またサイトにはGIS画面が表示されていて、遺跡の位置情報を個別に知ることができます。
ブログ花見川流域を歩く番外編2016.09.06記事「遺跡のGIS用位置情報取得方法(千葉県)」参照

私のパソコン内部ではこのデータベースがほぼ出来ていて位置情報を含むリストがFile Makerファイル(データベースファイル)となっています。

現在は次のような使い方をしています。

知りたい情報(例 奈良・平安時代遺跡を知りたい)をFile Makerで検索します。

その検索結果をcsvファイルで出力します。

そのcsvファイルをGIS(地図太郎PLUS)で開いて図示して利用します。

奈良・平安時代遺跡プロットを利用した例

奈良・平安時代遺跡プロット画面を千葉県全体に広げると次のようになります。

遺跡データベースの利用の仕方は大元のFile Makerファイルで必要な検索をして、その結果をcsv出力して、それをGISに(地図太郎PLUSならば「他形式を編集レイヤーの読み込み→csvファイル(経緯度座標系)」で)インポートすることになります。

インポートした遺跡の情報項目は工夫すればプロット地点に表示させたり、カーソルを合わせれば表示させるなどができます。GIS画面上で一覧表を表示させることも可能です。

大元のFile Makerファイルの検索と出力機能はExcelやAccessとは比べものにならない使い勝手の良さがあり、自分はFile Makerが必須だと考えています。

●課題 1
このデータベースは既に実用していますが、現在最終調整して完成度を向上させています。

●課題 2
「千葉県の歴史」に収録されている銙帯リスト等の各種遺物・遺構リストをこのデータベースの下位に関連付けます。

1-2 千葉県墨書土器データベース

明治大学日本古代学研究所サイトからダウンロードした千葉県墨書土器データベース(本編、補遺1、補遺2)を利用しています。

データ数は次の通りです。
本編 21049
補遺1 1447
補遺2 4847
合計 27343

このファイルはFile Makerファイルです。

次のような多様な項目のデータベースであり、画像が含まれ、レコードは土器(片)単位です。

墨書土器データベースの項目・画面

●課題
このデータベースには位置情報がありません。
しかし遺跡名称が項目にあります。一方ふさの国文化財ナビゲーションの遺跡データベースには遺跡名称と位置データがあります。

ですから同じFile Makerファイルですから遺跡名称でリレーションすれば墨書土器データベースに位置情報を付加することができます。

個々の土器片の場所を示す位置にはなりませんが、広域の検討では有力な位置情報になります。

試行して行った結果から次のような墨書土器分布図を作成しています。

千葉県墨書土器出土分布図

特定墨書文字の出土状況をデータベースから検索して、その結果をExceファイル出力して、それを状況(遺跡別出土数など)に応じて調整して、csv出力してGISにプロットできるように原理的にはできるようになりました。

現在その使い勝手を改善中です。

1-3 千葉県小字データベース

角川千葉県地名大辞典附録小字一覧をこのブログで電子化してFile Makerファイルとしたものです。

小字数は約94000です。

情報項目は次の通りです。

千葉県小字データベース(File Makerファイル)の項目
・小字
・小字よみ
・大字
・大字よみ
・市町村
・市町村よみ
・区
・区よみ
・所在地表記
・備考(旧市町村等)

現在は位置情報がないため、所在地表記を利用したアドレスマッチングで分布図を作成しています。

アドレスマッチングを利用した小字プロットの例

●課題 1
明治年間の大字分布図などの存在を知り、大字の位置情報作成が可能であることが判ってきましたので、今後大字(約2950)の位置情報をデータベースに加えて、いちいちアドレスマッチングにたよらないで空間表示ができるようにするつもりです。

小字の詳細な位置情報作成については、花見川流域近隣地域で試行して、その技術的方法を検討するとともに、小字分布図の収集についても検討を始める予定です。

●課題 2
既に作成してある古代郡郷リスト(と分布図)や荘園リスト等を地名データベースの下に関連付けます。

●課題 3
資料を使った作業の効率化を図るため市町村変遷リスト(分布図)をこのデータベースの下位に関連付けます。


2 遺跡データベースと小字データベースのGIS上での連動方法

遺跡データベースと墨書土器データベースは遺跡名称という共通項目で原理的にリレーションできます。

一方、これら二つのデータベースと小字データベースは共通項目がないので現状ではリレーションできません。

現状ではGIS空間上で視覚的にその関係を確かめることになります。

今後遺跡データベースで遺跡の関連大字を項目化すれば、その大字名称を軸にリレーションできるようにすることが可能です。その技術的方法を今後検討することにします。


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