1 陸域、想定水面域別にみた土器集中域
土器集中域を陸域と流路1水面想定域別に色分けしてその関係をわかるようにしました。
土器集中域 1
土器集中域 2
土器集中域 3
土器集中域は流路1沿岸に分布し陸域にある部分の面積がほとんどです。
しかし、その一部が水面にかかったり、その近くの水面に土器集中域が存在している所が多くなっています。
水面に存在する土器集中域は発掘調査報告書では陸域からの「流出」として捉えていますが、それは間違いであることを2017.05.11記事「西根遺跡 土器集中域詳細把握と問題意識」で述べました。
そもそもこの付近の戸神川では流水の力が土器を動かせないと考えています。
仮に流水が土器を動かすだけの力をもっているとしても、川沿いの土器は川から離れた場所に運ばれます。(しかし、そのような事例は分布図から見つかりません。)
水面に位置する土器は全て水面で送られたと考えます。
2 土器集中域分類
さて、ほとんどの土器が川沿いの陸域空間で送られたのに、一部の土器が水面で送られています。
そして、よく観察するとほとんどの陸域土器集中は水面にもかかるのですが、水面にかからないものもあります。
土器送りの際の好みがあるようです。
また陸域の土器送りでも、土器を面的に集中させる場合と塊状にあちらこちらに置く場合とがあるようです。これも土器送りの好みです。
この2つの好み(水面にかかるか否か、面的か塊状か)の組み合わせで土器集中域を分類すれば、それが土器送りの好みという合理的理由に基づく土器集中域単位の抽出につながると考えます。
分類結果つまり土器集中域単位は個別の土器送りプロジェクトに対応すると考えます。
このような考えから次の基準で土器集中域を分類してみました。
分類基準 (陸域土器集中の分布形状、流路内に係るか否か)
A 面的、流路内なし
B 面的、流路内あり
C 塊状、流路内なし
D 塊状、流路内あり
E 流路内のみ
土器集中域分類 1
土器集中域分類 2
土器集中域分類 3
Aが3か所、Bが5か所、Cが7か所、Dが9カ所、Eが2カ所抽出されました。
それぞれの箇所が個別土器送りプロジェクトの結果であると想像します。
それぞれのプロジェクトは準備段階のものから途中のものがほとんどで、ほぼ完成したもの(構想した敷地を全部土器で埋め尽くした場所)は四角形のものを含めて少数だと考えます。
西根遺跡の継続期間は300年間と推定されていますから、土器送りプロジェクトは300/26=11.5年となり約12年間隔で行われたことになります。
左右岸別々に集計すると左岸7、右岸17、河道2となり、左岸は約43年間/1回、右岸は約18年間/1回行われたことになります。
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参考 現在の戸神川
現在の戸神川
現在の戸神川
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