その結果を次に示します。
小グリッド土器総重量と土器分布図のオーバーレイ 1
小グリッド土器総重量と土器分布図のオーバーレイ 2
土器集中部(土器送り場主要部)とそれを囲む円周土器配列が各所で観察できます。
円周土器配列は円周祭壇(イナウ列、ヌササン)の跡であると推察します。
土器集中部及び円周土器配列ともに当時の河道の中に分布しているものも多く、河道の水量が少ないという理由だけでなく、積極的に水中に土器を置いた場合も多かったことを物語っていると考えます。西根遺跡はまさに水辺の遺跡です。
(流水の力で陸域の土器が水中に流れ込んだという発掘調査報告書の考え方は首肯できないと考えています。2017.05.11記事「西根遺跡 土器集中域詳細把握と問題意識」参照)
直線土器配列も各所で観察できます。直線土器配列も祭壇(イナウ列、ヌササン)の跡であると推察します。直線土器配列の多くは戸神川の上流方向を向いています。(2017.05.14記事「西根遺跡 土器集中域直線状配置の方向の意味」参照)
矩形土器集中区画とその中に位置する土器集中部(土器送り場主要部)も第4、第5集中地点で観察できます。
以上の観察は小グリッド別土器総重量のデータと土器精細分布図のオーバーレイから行ったものです。
これに小グリッド別土器種別データ、小グリッド別獣骨重量データを加えて、さらに観察を深めます。
土器集中部とそれを囲む円周列、あるいは隣接する直線列の存在から、西根遺跡の土器集中は土器を祭壇など空間構造表現ツールにも使っていて、単純な「土器そのものの送り場」でないことは確実です。
「土器送り」という表面的な活動の奥には別のより意義の大きな祈願が存在しているように感じられます。
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