私の散歩論

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2018年2月9日金曜日

思考補助ツールとしてのボロノイ図

QGISでボロノイ図、ドロネー図が簡単に作画できることは知っていましたがその活用イメージが湧きませんでした。しかし大膳野南貝塚竪穴住居の分析を進める中でボロノイ図が有用な思考補助ツールとして活用できますのでメモしておきます。

●ボロノイ図
ある距離空間上の任意の位置に配置された複数個の点 (母点) に対して、同一距離空間上の他の点がどの母点に近いかによって領域分割された図。
●ドロネー図
隣接するボロノイ領域の母点同士をつなぐ線分によって領域分割された図。

1 大膳野南貝塚後期集落(全期)竪穴住居の分布

竪穴住居の点表示
ボロノイ図、ドロネー図は点データから作成します。

竪穴住居のポリゴン表示
点データよりもポリゴン表示の方がはるかに分布実態を感得できます。

2 ボロノイ図表現

ボロノイ図+点データ
点とボロノイ領域が幾何学として対応しますから図としては訴求力があります。従って表現技法としては大いに役立つ図となります。
しかし自分が求めた思考刺激ツール(発想刺激ツール)としては次の図とくらべると弱いものです。

ボロノイ図+ポリゴンデータ
ボロノイ図にポリゴンデータを重ねるとポリゴンの重なり具合やバラバラな大きさとボロノイ領域との関係が「微妙に不安になり」その不安を解消するため実際の竪穴住居分布(重なり具合など)を詳しく観察せざるを得なくなり、分布の特性理解を強引に促進します。
この図を拡大すると、さらに分布特性の理解が進みます。

ボロノイ図+ポリゴンデータ
ポリゴンの重なりとそれによって機械的に区分されたボロノイ領域(考古的には意味のない領域)を同時に観察することによってポリゴン分布の意味がより強く認識できます。

この認識はポリゴンデータだけの分布からは得にくいものです

ポリゴンデータ

ボロノイ図は私にとって思考補助線のような役割をする思考刺激情報(発想刺激情報)です。雑音を一緒に聞くことによって、音楽の本当のすばらしさを感じることができるようなものかもしれません。

ボロノイ図+点データ
ボロノイ図+点データでは「本当に点データ」ならよいのですが、実際は点でないものを扱うときは、見映えを良くするには使えますが、思考刺激剤としては弱いものになります。

3 参考 ドロネー図表現

ドロネー図+点データ

ドロネー図+ポリゴンデータ

ドロネー図+ポリゴンデータ

近隣竪穴住居の間の幾何学関係という点ではドロネー図はボロノイ図と同じであり、ドロネー図から特段の思考刺激を受けることはありませんでした。

追記
多数遺跡の竪穴住居ボロノイ図を作成して比較するなどすれば、ボロノイ図を作成しないとわからなかった遺跡毎に異なる(あるいは同じ)竪穴住居分布特性を把握できるかもしれません。

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