私の散歩論

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2018年6月24日日曜日

縄文遺跡出土土器片がほとんど意図的に破壊されている意味

大膳野南貝塚後期集落出土土器片のほとんどが意図的に破壊されている意味について感じていることをメモしておきます。

1 出土土器片のほとんどが意図的に破壊されている証拠
発掘調査報告書掲載の土器片接合・復元写真をみるとほとんどの土器が意図的に破壊されて小片になっていることがわかります。

意図的に破壊された結果を示す破断線交点のミクロな表面欠損(○内)
ミクロな表面欠損(欠け)(○内)は破断線交点付近だけでありそれ以外の破断線上の凸部にはほとんどないので、この表面欠損(欠け)が発掘調査やその後の運搬・収納等で生じたものではなく、遺構に投入された時に生まれたことを示しています。
また意図的に破壊された土器の破断線は直線成分が多くなります。

2 意図的に破壊された土器片が遺構に投入された意味
遺構から出土する土器は意図的に破壊された土器片がほとんどですが、中には意図的に破壊されない土器も出土します。
埋甕、小児土器棺、甕被葬の土器、炉壁構造材としての土器片などは廃用土器をそのまま利用しています。
また、土坑の貝層を覆うように置かれた廃用土器や大型土器片もあり、これらは意図的に破壊されていません。
意図的に破壊されない廃用土器や大型土器片は祭祀等における機能を持っています。その機能と対照させて意図的に破壊された土器片の意味を次のように考えています。

破壊投入土器片と非破壊投入土器片
非破壊投入土器片は土器片そのものに機能があると考えられますが、破壊土器片は廃用土器や大判土器片を破壊して小片にしてそれを遺構に投入するという行為に意味があると考えます。

廃用土器や大判土器片の破壊行為は死(人の死、土器の破壊、施設の廃絶など)を象徴しますが、その行為の背後には生(子孫の生、新品土器、代替施設の新設)が控えていると考えます。さらに、破壊行為を積極的に行うことによって、背後の生を浮だたせようとしたのではないかと考えます。
廃用土器や大判土器片を破壊するとき、実生活ではそれに代わる新品の土器をすでに入手しているに違いありません。新品土器がすでにあるので、廃用土器を破壊できます。廃用土器を破壊して「土器を送り」「先祖や故人を送り」「廃絶施設を送り」ます。そしてその背後には既に「新品土器」「元気な子孫」「新設施設」があります。
「新品土器」「元気な子孫」「新設施設」をしっかりと現実社会に定着させ、発展させることを祈願して土器を破壊していると考えます。

つまり廃用土器や大判土器片の破壊行為は定型的な再生祈願行為であると考えます。

類似の事例として西根遺跡における土器密集地をあげることができます。下総に多い土器塚も趣旨を同じくする活動の結果生まれたものと考えます。
奈良平安時代の下総台地上の開発集落遺構における土器片出土(墨書土器片出土)も同じ趣旨の活動であったと考えます。
現代日本各地に残っているカワラケ投げやギリシャの「壺投げ」もそのルーツは同じ趣旨だと考えます。
2018.04.11記事「ギリシャ壺投げと印西市西根遺跡土器破壊」参照

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参考

西根遺跡土器破壊の様子

西根遺跡活動の空想

ギリシャ国コルフ島の壺投げ WEBサイト日テレNEWS24から引用
古くなったワイン醸造用壺破壊をルーツとする活動

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