貝塚を例とした千葉県遺跡DB活用方策の検討 2 貝塚の水系別分布
貝塚の水系別分布を概観してみました。
1 貝塚の水系別分布
貝塚の水系別分布
奥東京湾岸・東京湾岸水系に立地する貝塚が密集して分布して最も数が多く見えます。ついで古鬼怒湾水系に分布するものが多く、九十九里・太平洋岸水系に立地するものが少なくなっています。
水系別分布は次の水系図を参考に類別しました。
水系図
古鬼怒湾岸水系(鹿島川など)の上流部に立地する貝塚の中には分水嶺をこえて貝が東京湾からもたらされたものがあります。
2 水系別貝塚数
水系別貝塚数
奥東京湾岸・東京湾岸水系貝塚は468で全体(748)の62.6%をしめます。古鬼怒湾岸水系貝塚は179で全体の23.9%になります。九十九里・太平洋岸水系貝塚は101で全体の13.5%をしめます。
3 検討課題
水系別貝塚数に顕著な差異があり、その差異の理由を分析して説得力のある説明ができるようにすることが重要な学習上の検討課題になると考えます。
食料となる貝の分布状況、採取活動のしやすさ、漁労活動の場が狩猟活動と両立できる地理的位置条件を具備しているかどうか…などの条件を抽出して分析することが課題です。
なお、これらの検討条件の重要な一つとして、「海の向こうに交流・交易できる有力な相手がいるかどうか」というコミュニケーション、交通条件の検討が極めて大切であると以前から強く考えています。奥東京湾岸・東京湾岸水系貝塚を形成した縄文人は東京や神奈川の縄文人と交流したに違いありません。相互の人的移動もあったに違いありません。古鬼怒湾岸水系貝塚を形成した縄文人は茨城の縄文人と交流したに違いありません。九十九里・太平洋岸水系貝塚を形成した縄文人は海を経由して東北や伊豆方面の縄文人と交流していたか?
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