私の散歩論

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2019年2月15日金曜日

加曽利EⅡ式渦巻文4把手土器の観察

縄文土器学習 28 加曽利貝塚博物館企画展展示土器の観察 7

加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」(3月3日まで開催)の展示土器38点の個別観察をメモしています。この記事はNo.7土器です。

1 加曽利EⅡ式渦巻文4把手土器 No.7

加曽利EⅡ式渦巻文4把手土器 No.7
有吉北貝塚出土

加曽利EⅡ式渦巻文4把手土器 No.7
有吉北貝塚出土
ガラス面照明反射が邪魔して良い写真が撮れません。

2 発掘調査報告書における記述
No.7土器は縄文時代中期土坑(SK270)から出土していて、「千葉東南部ニュータウン19 -千葉市有吉北貝塚1(旧石器・縄文時代)-第1分冊(本文)」(平成10年3月、住宅・都市整備公団・財団法人千葉県文化財センター)(以下発掘調査報告書等として適宜略称)ではつぎのように記述されています。

「1は沈線文による渦巻文で飾られた4単位の把手を持つ深鉢である。口唇上に施された沈線は、図の正面の把手と右側の把手間がつながり、裏側と対になっている。口縁部は隆帯と沈線による渦巻文及び円形区画文が巡り、胴部には磨消懸垂帯を持つ。」

出土土器挿図
発掘調査報告書から引用

出土土器写真
発掘調査報告書から引用

なお、発掘調査報告書ではNo.7土器出土土坑の時期を11群(連弧文土器が衰退し、キャリパー形土器が盛行する段階の加曽利EⅡ式)土器群に比定しています。

3 観察と感想
3-1 器形と模様
発掘調査報告書記述を図解して理解すると次のようになると考えます。

発掘調査報告書記述の理解

3-2 把手にある孔の意味
把手に孔があり、指をいれて両手で持てば持ちやすい感じが想像できますが、この把手は単なる飾りであるのか、それとも強度がある実用把手であるのか理解していませんので、専門家から教えてもらうことにします。

把手の孔は土器外面と内面を空間的に直接繋いでいるように見えます。しかし、見方をかえれば、孔が3方向に開いた把手が土器口唇部に乗っているという見方も成り立ちます。
同じことは、No.3土器(加曽利EⅠ式大把手小突起対向土器)でも孔が3方向に開く把手が土器に乗っていると解釈することもできます。
No.7土器の4つの把手、No.3の大把手もそれぞれ蛇体が絡まっているデザインがそのルーツにあるという空想を今後の学習テーマの一つにしたいと考えます。

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企画展展示の様子

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