縄文土器を形式別に観察しています。
この記事では2019.04.29記事「稲荷台式土器 東峰御幸畑西遺跡」で扱った縄文早期稲荷台式土器の出土遺跡分布図からヒートマップを作成してみました。
1 稲荷台式土器出土遺跡のヒートマップ作成
QGISの機能(ヒートマッププラグイン)を使って点情報としての遺跡分布図をカーネル密度推定により連続的な密度分布図として視覚化しました。ヒートマップを作成することにより分布密度をより視覚的に眺めることができます。
素分布図 稲荷台式土器出土遺跡
稲荷台式土器出土遺跡ヒートマップ
参考 素図(稲荷台式土器出土遺跡分布図)+ヒートマップ
ヒートマップ作成により、稲荷台式土器出土遺跡が濃密に分布する空間の場所を客観的に説明できるようになりました。
ヒートマップは当該点分布における相対的な分布密度を表現しています。
ヒートマップはカーネル密度推定に与える半径パラメータの値により分布密度の平滑化の程度が異なります。そのため分析目的に応じてその都度最適と思われるパラメータ値を設定します。
2 ヒートマップを使った異なる土器形式分布の比較
縄文早期の最初期の井草式土器ヒートマップ、それに次ぐ時期の稲荷台式土器ヒートマップ及び縄文後期の加曽利B式土器ヒートマップを作成して並べて比較してみました。
井草式土器ヒートマップ
稲荷台式土器ヒートマップ
加曽利B式土器ヒートマップ
3枚のヒートマップを並べて眺めると各土器形式時期の遺跡分布密集域が変化している様子を観察することができます。
ヒートマップを作成することにより土器形式別という詳細時期別に遺跡分布密集域の変化の様子が判りそうです。それが判れば、各時期の縄文社会が好んで利用していた空間を知ることができます。さらにその情報から当時の生業の在り方や遺跡密集域の立地環境を推察することが可能になりそうです。
土器形式別ヒートマップから縄文社会変化の重要な情報を引き出すことが可能になりそうです。
次の記事で、ヒートマップを使った分析の可能性を検討します。
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