私の散歩論

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2019年5月23日木曜日

縄文土器学習入門者の問題意識 データベースの情報カバー率

縄文土器学習 132

私家版千葉県遺跡データベースで縄文土器形式別分布図をつくり比較しようとしてます。分布図を作成するともっともらしい地図になります。有用な情報が含まれていることは間違いありません。また千葉県域で主要土器形式分布図を並べるような作業は見かけませんから意義があることは確実です。
同時にその分布図が「本来存在した事実」「知りたい事象」「存在情報の全部」に対してどれだけカバーしているのか、無頓着でいるわけにはいきません。作成した土器形式別分布図の評価を踏まえた上で利用するのが筋だと思います。
そのような観点から、データベースの情報カバー率について次のような問題意識を現時点で持っていますのでメモ・記録しておきます。学習が進めば、この問題意識も変化するに違いありません。

1 土器はどの程度残ったか
ある時代(例 加曽利B2式期)のある空間(例 下総台地地域)で作られた縄文土器の総量が特定の値で存在していたことは観念できます。
このうち地中に埋もれるなどして近代までに存在した量(残存した量)はどれくらいだろうかということを知りたいです。
土器は腐らないから大半が残存したのか、人の破壊運搬や流水の影響、風化等で大半が消滅したのか、その感覚を知りたいです。

2 近代以降発掘された土器の総量は地中に残存している土器総量のどの程度か
近代以降の発掘調査で発掘された土器総量は地中に残存しているであろう土器総量のどの程度であるか知りたいです。
想定される埋蔵文化財包蔵地のうち発掘調査された面積がどの程度であるかという問題意識でもあります。

3 発掘調査された遺跡分布は地中に残存しているであろう全土器の分布に対してどのような統計的意味を持つのか
下総台地地域を広域的全体像として見た時、素人感覚的には発掘調査された遺跡数が多く、かつその分布が極端に偏っていないので、既存遺跡の情報は地中に残存しているであろう全土器の分布に対して、統計的有意性がかなりあるのではないかと直観します。その統計的有意性はどの程度のものであるのか。

4 発掘調査で出土した土器のどの程度が記録されるのか
発掘調査で出土した土器総量のどの程度が復元、調査、記録されるのか、その程度が記録されているのか、興味があります。また珍品土器は記録されると思いますが、土器塚等で多数出土類似土器の場合など多少なりとも観察され統計情報として残るのか、最初から廃棄されるのか。調査・興味の視点が変化すれば当然観察対象土器も変化しますから、調査の仕方について興味があります。

5 発掘調査で復元、調査、記録された調査結果はどの程度発掘調査報告書に反映されるのか
紙数の都合等で割愛される調査結果が報告書毎にどの程度であるのか、知りたいと思います。
また発掘調査はされたけれども発掘調査報告書は刊行されない場合もあるようです。これがどの程度あるのか。

6 発掘調査報告書内容のどの程度がデータベースに掲載されているか
私家版千葉県遺跡データベース(元情報は千葉県の前ふさの国文化財ナビゲーションダウンロードデータ)は発掘調査報告書の要約版のような内容になっていて、出土土器形式がリストアップされてます。しかし、土器形式を書かないで「縄文土器」で一括しているものなど内容記載が不十分のもの、無いもの等があります。また最近刊行発掘調査報告書の情報は洩れています。千葉県全体では遺跡件数が20000を超えるため、そのチェックは大仕事になります。

7 土器形式の検索方法はどのようにしたらよいか
そもそもデータベースから適切に情報を汲みだしているのかというチェックは必須です。
私家版千葉県遺跡データベースにおいて土器形式を検索する場合の技術的詳細を検討し、それに合わせてデータベースの修正改変等を行うことが大切だと考えています。

以上の問題意識のうち、自分が能動的に活動できるものは6の一部と7です。また3についても何らかの検討をいつかしたいと思います。

完璧には程遠いデータベースについてその情報カバー率を意識しつつ、それからいかに有用な情報を引き出すか?それが学習内容そのものだと思います。

データベース画面(File Maker画面)

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