私の散歩論

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2019年7月14日日曜日

加曽利B式土器の分布

縄文土器学習 187

堀之内式土器分布に続いて加曽利B式土器分布について観察します。

1 千葉県 加曽利B式土器出土遺跡分布図

千葉県 加曽利B式土器出土遺跡分布図
現在の学習では遺跡分布の詳細は検討していません。しかし、この分布図に九十九里平野に加曽利B式土器出土遺跡が現れていることがわかります。海退に伴う沖積地拡大と縄文人利用開始のいわば初出情報です。このような観点から地域の詳細を分析すれば豊かな情報を汲み取ることができます。今後の学習課題(楽しみ)として残しておきます。

千葉県 加曽利B式土器出土遺跡分布ヒートマップ
遺跡密集地(赤と青)は加曽利E式土器では松戸市と市川市境界付近(以下Aエリアと略称)と千葉市若葉区・緑区付近(以下Bエリアと略称)が主なものでした。
その後の称名寺式土器と堀之内式土器ではAエリアだけでした。
ところが加曽利B式土器ではBエリアに移動します。
加曽利EⅡ式と加曽利B式の遺跡密集地がBエリアで共通していることは下総台地の縄文社会消長を考えるうえで超重要な情報です。土地が持つ特性(地形に根差す地勢・自然)が縄文人をしてそのような類似した社会を成長発展期には形成させるのだと思います。

オタマジャクシみたいな形状の遺跡密集地が浮かび上がります。オタマジャクシの赤い部分は鹿島川(印旛沼水系)と都川(東京湾水系)の分水界付近です。オタマジャクシの尾の部分付近に加曽利貝塚が位置します。

千葉県 加曽利B式土器出土遺跡分布ヒートマップ拡大図

2 加曽利B式土器細分別の統計
加曽利B式土器出土遺跡854(※)のうち106(12%)が加曽利B1式、B2式、B3式別に記載されています。

千葉県 加曽利B式土器出土遺跡 細分情報(B1、B2、B3)の有無
堀之内式土器の細分情報は約1/3ですがそれと比べて加曽利B式土器の細分情報割合が大変劣っています。土器細分鑑識が困難であるためかもしれません。

この細分情報をグラフにすると次のようになります。

千葉県 加曽利B式土器細分情報別遺跡数
B1式よりB2式の方が多く、そこがピークで、B3式は値が大幅に小さくなるというパターンは他の図書等で語られている情報と整合します。自分のイメージにもあっています。
しかし細分情報を分布図にしたりヒートマップにしてみると細分情報がある遺跡が全体の様子を表している(指標している、代表している)とは考えられません。従って加曽利B式土器の細分統計は他の土器形式のようには使えないようです。

※遺跡数は私家版千葉県遺跡データベースの調整・修正・増補が継続的に行われているので変動します。絶えず最新情報で記事を書きます。過去に作った図表の遺跡数は大幅な変動でない場合はそのまま使います。

3 参考 千葉県 縄文土器形式別出土遺跡数

参考 千葉県 縄文土器形式別出土遺跡数

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