私の散歩論

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2020年6月3日水曜日

再開加曽利貝塚博物館の観覧

2020年5月26日に再開した加曽利貝塚博物館を6月2日に訪問観覧しました。約半年ぶりの訪問観覧です。
展示の様子がガラリと変わったことに驚きました。好感の持てる昭和的雰囲気を残しつつ、観覧しやすい工夫が随所に感じられ、同時にコンテンツの質が大幅に上昇しています。一言でいえば、展示の哲学が変わったという印象を受けました。
以前の展示における石器だけを観覧するつもりで訪問したのですが、展示物全てが新鮮であることから時間を忘れて全てをくまなく観覧しました。さらに残時間で主要展示石器を詳しく観察し写真撮影しました。久しぶりに興奮を伴う満足感を獲得し、かつ収穫物の多い観覧となりました。

1 新しい展示の様子
ア 回廊の展示
主展示室へ至る入り口の回廊と出口へ至る回廊の双方の展示物が7割方一新されました。迫力ある土器展示が加わり、説明パネルもわかりやすいものに変更されています。さらに落合遺跡説明のための丸木舟(複製)展示も加わりました。

入り口通路の様子

土器展示の様子

落合遺跡説明のための丸木舟(複製)展示の様子

イ 企画展「特別史跡加曽利貝塚令和元年度発掘調査速報展」
2017年から2019年12月に実施した縄文晩期竪穴住居関連の発掘調査結果の概要を展示しています。
土器もありますが、なぜか石剣や石斧など石器類の展示が多く、過去の類似の展示とイメージが少し違います。偶然とはいえ、自分の学習対象が土器から石器にシフトしてる状況と展示の状況が合うことに驚きました。

企画展展示の様子

企画展展示の様子

なお、「特別史跡加曽利貝塚令和元年度発掘調査速報展」は6月28日まで開催されています。

ウ 主展示
主展示の様子がガラリと一新したような印象を受けました。
自分の学習興味が土器から石器に移行しつつあるという観察者心理要因を差し引いても、土器展示点数が減り、石器展示点数が増え、テーマによる展示に衣替えしたような印象を受けます。これまでもあった装身具等に加え、犬とか貝塚発掘技術とかが加わっています。

主展示の様子
貝塚博物館ならではの価値ある展示「貝塚を洗う」です。

主展示の様子

主展示の様子

2 興味ある新たな展示物
興味ある新たな展示物として大型住居出土の2本の石棒を見つけました。

大型住居出土2本の石棒
この石棒は実物をぜひとも見たいと思っていたのです。ペア異形台付土器と一緒に出土したものです。展示ケースで見つけてコーフンしました。敲打の痕なども確認できました。追って観察記録3Dモデルでも詳しく観察したいと思います。

3 感想
ア ショーケース内の密(!)減少
展示一新感の一つの大きな要因として、展示物を厳選していることが作用していると気づきました。これまでのようにショーケースに見せたいものは出来る限り詰め込むという発想から、遺物と遺物の距離を開けて見やすくする発想に転換したような印象を受けます。「密」(!)をなくしています。ショーケースに余白を設けています。ディスカウントストア的ショーケースから高級品店的ショーケースに代わったような印象を受けました。「遺物が別の遺物の陰になってよく見えない=邪魔が入らないそれ自身の写真がとれない=3Dモデルの出来が悪い」ということがすくない展示になりました。
多数遺物を「これでもか、これでもか」と並べ立てる展示方法も場合によってはありとは思いますが、一般論として遺物の展示数を減らして、その遺物に意識を集中させる展示の方が見やすいと思います。そのためには遺物の質・意義が大きなものであることが必須です。その遺物を多数者が意識集中して観察し、それによって一層価値が高まるほどの質・意義が必須です。

イ 収穫量大の観覧
展示内容が更改され、かつ見やすい展示となったことにより写真撮影にも熱が入りました。
880シャッター、5280ファイル、35.8GBの画像を収穫しました。予備電池を1回交換した程です。
しばらくの間、趣味活動における観察記録3Dモデル作成という内業のための「糧」に困ることはありません。
観察記録3Dモデル作業のネタがないという飢餓感から解放されました。
なお、他の観覧者の邪魔になるようなことや、コロナに関するマナーにふれるようなことに細心の注意を払って観覧・撮影していることは当然です。

ウ 展示趣旨の微妙な変更?
自分の勘違いかもしれませんが、再開加曽利貝塚博物館の展示全体趣旨が半年前とくらべて微妙に変化しているように感じます。
数少ない縄文土器マニアとか専門研究者が喜ぶような超専門的・超狭小学問領域的興味=加曽利E式土器変遷を最大の売りにする超絶展示から、縄文社会探求という円満な展示に変化したような印象を受けました。考古趣味者としては超絶展示も興味津々ですが、千葉市民税納税者の一人としては円満展示のほうが納得できます。

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