縄文貝製品学習 3
加曽利貝塚博物館常設展に展示されているカガミガイ製貝刃の観察記録3Dモデルを作成しました。
1 縄文時代カガミガイ製貝刃(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル
縄文時代カガミガイ製貝刃(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル撮影場所:加曽利貝塚博物館 常設展
撮影日時:2020.07.30
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.003 processing 71 images
展示の様子展示の様子(特殊モード撮影写真)展示説明写真動画2 メモ
・ハマグリ製貝刃と異なり外殻を削り、それがそのまま刃部になっています。
・ハマグリ製貝刃とカガミガイ製貝刃では刃部の様子が異なりますから用途が異なっていたのかもしれません。
・貝刃は交易用干魚等製品づくりのためにウロコ取りや不用部除去用包丁などとして、生業実務の道具であると考えられます。
・加曽利貝塚の北貝塚(中期)と南貝塚(後期)別貝刃出土数は次のように報告されています。
貝刃の素材貝種 史跡加曽利貝塚総括報告書から引用北貝塚(中期)での出土数に比べて南貝塚(後期)出土数が2割程度しかありません。南貝塚(後期)集落では漁業が衰退したか、あるいは出先ハマ貝塚に作業をアウトソーシングしたかのどちらかです。
しかし、交易用魚介類がなければ南貝塚から多量に出土している石棒や装身具などの入手は困難です。従って南貝塚(後期)集落は出先ハマ貝塚などに生産作業をアウトソーソングしたようです。
アウトソーシングというと聞こえが良いですが、下層民に生産をやらせ、上層民は毎日祭祀三昧の生活をするという階層社会だったのではないだろうかと素人空想します。
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2020.08.11追記
ハマグリ製貝刃の刃部は平滑ですが、カガミガイ製貝刃の刃部はギザギザしているようです。この違いからハマグリ製貝刃はウロコとりで、さばきは素手でできるような魚(イワシ・アジ・サバなど)の処理でカガミガイ製貝刃はウロコをとるだけだなく、貝刃を使わないとさばきが困難な中型漁(カツオ・クロダイなど)の処理だったのかもしれません。そのような想像が正しいとすれば、ハマグリ製貝刃とカガミガイ製貝刃の比率401:86から魚種大分け別(加工困難性区分別)の漁獲割合をイメージすることが可能になるかもしれません。
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