縄文土器学習 566
千葉市動物公園「動物園で考古学」コーナー観覧でイノシシ形突起(獣面把手)(大膳野南貝塚)を撮影し早速観察記録3Dモデルをつくりました。以前発掘調査報告書だけの情報ですが、イノシシ形突起の遺跡内分布について分析したことがあるので、懐かしく感じます。
1 イノシシ形突起 1(大膳野南貝塚) 観察記録3Dモデル
イノシシ形突起 1(大膳野南貝塚) 観察記録3Dモデル縄文時代前期後半
撮影場所:千葉市動物公園「動物園で考古学」コーナー
撮影月日:2021.03.29
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.019 processing55 images
展示の様子
展示の様子
観察記録3Dモデルの動画
2 メモ
以前大膳野南貝塚学習をしたときのイノシシ形突起(獣面把手)関連記述は次の通りです。2018.06.27記事「貝殻・獣骨・土器片出土の意義」
…………………
2-2 狩猟祭祀場所推定-(遺構外)野外
2-2-1 イノシシ形獣面把手を手掛かりとした推定
大膳野南貝塚でイノシシ形獣面把手は24例出土していてその全てがほとんど把手だけ(イノシシ像だけ)のかけらです。
イノシシ形獣面把手出土例(一部) 写真
大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用
イノシシ形獣面把手は諸磯b式土器の時代に流行った土器です。
この土器のイノシシ像だけが土器から打ち欠きだされたことが判ります。
またイノシシ形獣面把手の出土場所は全て遺構外からの出土になります。
大膳野南貝塚 前期集落 イノシシ形獣面把手の分布
イノシシ形獣面把手の分布は諸磯式期(浮島式期)の竪穴住居の周辺といってよい場所です。
これらの事実からイノシシ形獣面把手付土器が廃用になった時、その土器からイノシシ形獣面把手だけを打ち欠き出して、それを住居周辺に置いた(投げた、埋めた)ことが判ります。
同時に、イノシシ形獣面把手出土場所のほとんどはその直近からイノシシ頭部骨が出土しています。
イノシシ形獣面把手と遺構外イノシシ頭部骨の出土地点 5m×5mメッシュ情報から作成
遺構外イノシシ頭部骨は縄文全期のデータであり、イノシシ形獣面把手は諸磯式期のデータですから直接1:1の対応ではありませんが、イノシシ形獣面把手とイノシシ頭部骨の間の密接な関係を示唆する情報となっています。
これらの情報からイノシシ形獣面把手とイノシシ頭部骨をつかった狩猟祭祀(イノシシ祭祀)が竪穴住居近くの野外で行われたと推測することができます。
同時に、イノシシ形獣面把手付土器の使用期間以外の期間にあっても狩猟祭祀(イノシシ祭祀)は野外で行われたと敷衍して推定します。その推定の根拠は分布図で示したイノシシ頭部骨の遺構外からの大量出土です。イノシシ頭部骨の遺構外分布は後期集落の漆喰貝層有竪穴住居の周辺に該当します。
…………………
3 感想
「動物園で考古学」コーナー観覧で器台1点、イノシシ形突起3点、鳥形突起1点の3Dモデル作成用撮影をしましたので、これらの3Dモデルを作成して、コレクションに追加しておくことにします。
0 件のコメント:
コメントを投稿