埼玉編年のデータベース化による分析的学習 3
縄文土器学習 564
埼玉編年(1982)Ⅸ期・Ⅹ期(加曽利EⅠ式)2群土器について学習しましたので、メモします。
1 埼玉編年(1982)Ⅸ期・Ⅹ期(加曽利EⅠ式)の土器群構成
埼玉編年(1982)Ⅸ期・Ⅹ期(加曽利EⅠ式)の土器群構成と有吉北貝塚土器群分類の対応をみると次のようになります。
埼玉編年土器群分類と有吉北貝塚土器群分類の対応
・埼玉編年土器群分類学習は有吉北貝塚土器群分類学習の一環として行っています。有吉北貝塚土器群分類が埼玉編年を使っているからです。
・埼玉編年1群土器の学習はすでに行いました。
埼玉編年(1982)Ⅸ期・Ⅹ期(加曽利EⅠ式)1群土器(キャリパー形土器)分類の理解
2 2群土器12細分類の理解
2群土器は12細分類されていますが、どの土器型式から影響を受けたか、主要文様帯は口縁部か胴部かという観点から再整理して理解しました。
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Ⅸ期・Ⅹ期 2群土器 分類メモ
1 3群土器の影響を受けた土器
1-1 主要文様帯の位置 口縁部
1-1-1 隆帯による突起状渦巻文土器
【Ⅸa期B類(10)】
・3群土器B類の影響
1-1-2 沈線区画文土器
【Ⅸa期D類(12)】
・3群土器D類の影響
・西部
1-2 主要文様帯の位置 胴部
1-2-1 口縁部内曲、胴部文様土器
【Ⅸa期C類(11)】
・3群土器C類の影響
・撚糸文多い
・西部
1-2-2 細隆帯文様土器
【Ⅹ期B類(11)】
・3群土器の影響
1-2-3 隆帯渦巻文土器
【Ⅹ期C類(3)】
・3群土器の影響
2 4群土器の影響を受けた土器
2-1 主要文様帯の位置 口縁部
2-1-1 朝顔形で肥厚した口縁部文様帯土器
【Ⅸa期F類(14)】 ・Ⅸa期4群D類の影響
【Ⅸb期B類(10)】
【Ⅹ期D類(13、14)】 ・Ⅸb期B類の系統
・東部
2-2 主要文様帯の位置 胴部
2-2-1 口縁部外反胴部文様帯土器
主要文様帯…胴部
【Ⅸa期A類(9)】
【Ⅸb期A類(9)】
【Ⅹ期A類(10)】
・Ⅸa期 4群土器A類の影響
3 大木8a式の影響を受けた土器
3-1 主要文様帯の位置 文様希薄
3-1-1 口縁部外反胴部膨張撚糸文土器
【Ⅸa期E類(13)】
・口唇部は大木8a式の影響
・西部
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埼玉編年(1982)Ⅸ期・Ⅹ期(加曽利EⅠ式)2群土器(曽利式・勝坂式影響下土器)分類の理解
3 2群土器分類の理解の3D資料化
2群土器分類の理解(カードの空間配置)を3D資料にして、3D空間でカード記述を読めるようにしました。
埼玉編年(1982)Ⅸ期・Ⅹ期(加曽利EⅠ式)2群土器分類カードの3D展開 素材1現在は3Dモデル作成技術が虚弱なため、資料に整飾・注記を描き込むことが不十分であり、素材だけの3D配置になっています。
素材3Dモデルの動画
4 感想
1群土器は器形がキャリパー形土器で主文様帯は口縁部であり、斉一性が特徴です。一方2群土器は曽利式影響土器も勝坂式影響土器も器形、主文様帯の位置がバラバラです。そもそも曽利式土器、勝坂式土器ともに器形や主文様帯の斉一性は高くないようです。
この特徴から次の2点について今後の学習を深めたいと思います。
ア 加曽利EⅠ式土器で斉一性が高い理由
・広域の人々に影響を与える(おそらく広域の人々に「恩恵」を与える)新しく、注目するに値する「何か」(技術?制度?環境?)が生まれ、その「何か」に合わせて土器斉一性が生まれたと空想します。
イ 2群土器が継続する理由
斉一性の高い1群土器を作る人々が同時に2群土器も作っています。和食中心の生活の中で、時々中華や洋食も食べる生活と同じような状況があります。
土器文様に物語や神話が紐づけられていると考えると、縄文人は地域社会が共有するメインの物語・神話以外に、いわば異郷の物語・神話にもエキゾチックな興味をもっていたのかもしれません。
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