縄文土器学習 599
この記事では有吉北貝塚北斜面貝層出土加曽利EⅡ式土器のうち第10群に盛行し第11群まで継続した連弧文土器の紙上観察を行います。
1 連弧文土器の例
241
243
この連弧文土器は加曽利貝塚博物館の過去の企画展で展示されたことがあります。
H30年度加曽利E式企画展(千葉市内編)で展示された243土器
245
251
2 連弧文土器に関する有吉北貝塚発掘調査報告書の記述
連弧文系土器(238~272)
第9群の時期に突如として出現して第10群期に盛行し、第II群段階にいたって漸減して加曽利EⅢ式期には全くみられなくなる、すなわち加曽利EⅡ式とほぼ運命を同じくする類型である。加曽利EⅢ式段階に出現する波状文土器や横位連携弧線文土器と呼ばれる類型に変化するという考えもあるが、確定的ではない。本類型の型式学的な変遷の特徴を概観すると、第9群段階では文様帯区分が明確で比較的整った連弧文が施され、第10群段階では文様構成がバラエティに富むようになるものの、連弧文が崩れる傾向にあり、第11群段階になると連弧文の粗雑化や変形がさらに進み、最終段階の様相を呈するとなる。第9群段階のものは既に示したが、第10群と第11群段階の資料を明確に分別し得なかったためここに1項を設けて提示することとする。基本的には段階を追つて図示するよう心掛けた。
3 実測図
発掘調査報告書実測図を段階を追って並べてみました。
有吉北貝塚 北斜面貝層 連弧文土器変遷
4 感想
次のような興味をおぼえました。今後の学習の中でこれらの興味を深めていくことにします。
ア 連弧文土器の割合把握
遺跡全体、北斜面貝層、竪穴住居、土坑別などで第9群~第11群期に連弧文土器の割合が全体に対して、あるいはキャリパー形土器にたいしてどの程度であったのか把握する。
イ 連弧文土器の利用特性
連弧文土器とキャリパー形土器やその他の土器(曽利式土器、折衷土器等)との間で器形・大きさや出土状況などから、利用仕方の差異が観察されるかどうか。連弧文土器とキャリパー形土器をどのように使い分けていたか?
ウ 連弧文土器文様の起源
連弧文土器文様の起源に関する学術研究論文を入手して学習することにします。
エ 連弧文土器文様に関する感想
連弧文土器文様意味にたいして、最低限の蓋然性を有する感想(想像)を持てるように意識を研ぎすまして、縄文土器学習を継続することにします。
オ 加曽利EⅢ式土器との関連
連弧文土器の意匠が加曽利EⅢ式土器に引き継がれたという説が専門家の間でどのように評価されているのか調べることにします。
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