私の散歩論

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2022年2月11日金曜日

イルカ下顎骨製箆状腰飾の文様解釈 その2

 Interpretation of the pattern of the dolphin mandibular spatula-shaped waist ornament Part 2


I learned that the dolphin mandibular spatula-shaped waist ornament design expresses the Katsusaka-style pottery snake body pattern.

In this article, I created and observed a 3D model of the serpentine decorative pottery (Nakappara Site, Chino City) exhibited at the Togariishi Jomon Archaeological Museum. With reference to that observation, I examined and thought about the details of the interpretation of the waist ornament pattern. Then, I wrote down what I noticed and what I thought, and prepared for a full-scale study at a later date.


イルカ下顎骨製箆状腰飾デザインが勝坂式土器蛇体文を表現していることを知りました。


西野雅人先生講演資料に基づくイルカ下顎骨製箆状腰飾の文様解釈

2022.02.10記事「イルカ下顎骨製箆状腰飾の文様解釈

この記事では蛇体装飾のある土器(茅野市中ッ原遺跡)の3Dモデルを作成して観察し、その観察を参考にして、文様解釈の細部について検討・思考しました。そして気が付いたことや感想をメモして、後日の本格検討に備えます。

1 参考 蛇体文のある勝坂式土器3Dモデルの観察

例示された勝坂式土器に器形も蛇体文も似ていると考えられる土器を、かつて尖石縄文考古館で観覧して3Dモデルを作ったことがあります。そこでその3Dモデルを観察して参考とします。

1-1 蛇体装飾のある土器(茅野市中ッ原遺跡) 観察記録3Dモデル Pottery with snake body decoration

蛇体装飾のある土器(茅野市中ッ原遺跡) 観察記録3Dモデル Pottery with snake body decoration


展示の様子

縄文中期(5000年前)

撮影場所:尖石縄文考古館

撮影月日:2020.03.13

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 246 images(Masquerade機能利用)

Pottery with snake body decoration (Nakappara site, Chino city) Observation record 3D model

Mid-Jomon period (5000 years ago)

Location: Togariishi Jomon Archaeological Museum

Shooting date: 2020.03.13

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v4.530 processing 246 images (using Masquerade function)


3Dモデルの動画

1-2 観察


観察メモ

・2匹のヘビが把手で絡み合っています。

・「上から」みるとヘビ顔面は顔面中央線と輪郭線の2つの要素で構成されて表現され、さらに目が貼付されています。

・「下から」みると2匹目のヘビ顔面が表現されています。ただし目は巨大なものが1つだけです。

・「横から」みるとヘビ特有の細かい歯列が表現されています。

・把手で絡み合う2匹のヘビとは離れて、土器頸部に直線状の蛇体が巻きついていて、それぞれの端が破れて空洞が見えるような表現になっています。これはヘビの抜け殻を表現していると考えます。ヘビは頻繁に脱皮しますから、再生や若返り、あるいは強い治癒力のシンボルとなることは全世界共通の傾向です。縄文人も同じようにヘビを信仰していたと考えます。

2 例示された勝坂式土器蛇体文の解釈

1の蛇体装飾のある土器(茅野市中ッ原遺跡)観察から、例示された勝坂式土器蛇体文を次のように解釈します。


この蛇体文を「脱皮途中のヘビの表現」と考える

ヘビが繰返し脱皮する姿をみて、勝坂式土器縄文人はヘビに再生や若返り、あるいは強い治癒力をみてとり、それを信仰の対象として土器に描いたと考えます。

3 イルカ下顎骨製箆状腰飾の文様解釈と考察


イルカ下顎骨製箆状腰飾の文様解釈と考察

ア 前部両側に刻まれた交互三角文

前部両側に刻まれた交互三角文は茅野市中ッ原遺跡出土蛇体装飾土器の例から、ヘビ特有の細かい歯列であると考えます。

イ 紐通し孔

紐通し孔は茅野市中ッ原遺跡出土蛇体装飾土器の例からヘビの目を表現していると考えます。

ウ 後部交互三角文

後部交互三角文は茅野市中ッ原遺跡出土蛇体装飾土器の例から脱皮の脱殻部分を表現していると考えます。

エ 「大」マーク刺突文

刺突文で描く「大」マークと線分は脱殻の開口部を表現していると考えます。この部分には目のウロコを含む顔の脱殻となっています。

オ 縛り跡

腰飾中央付近には縄の縛り跡が沢山ついています。何かに縛り付けて使ったと考えられます。

カ 右側部分の摩滅

右側部分の摩滅がはなはだしく、前部では外側刺突文や交互三角文の一部が消失しています。また考古三角文も浅くなっていて、薄くなっています。この左右非対称摩滅状況は赤色立体画像でもよくわかります。


赤色立体画像

(赤色立体原理(千葉達朗先生発明)により3Dモデルから作成)

この腰飾を前部を上にして右腰に付けると、右手と腰飾右側が擦れあう状況になります。ですから、集落リーダーが長期間にわたって日常的に身に装着していたので、このような摩滅が生まれたと考えます。


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