About the pattern of pottery of abstract pattern
I learned that the object drawn by the pattern of pottery of abstract pattern is not a salamander, but two large and small snakes. It was an epoch-making knowledge exchange for me.
I created a collection about pottery of abstract pattern in Sketchfab.
抽象文土器の文様が描いている対象がサンショウウオではなく、大小2匹のヘビであることを知りました。自分にとって画期的な知識入れ替えとなりました。
6月まで開催された山梨県立考古博物館企画展「心を描く縄文人」観覧で動物文や顔面把手について興味を深めました。この興味に関連して、次の論文を入手して抽象文土器、動物文(ヘビ、カエル、イノシシ)、顔面把手について学習を深めました。この記事ではその学習の中での抽象文土器に関する興味をメモしました。
今福利恵 2019 「勝坂式土器における動物文様と人体表現」「研究紀要」35 山梨県立考古博物館・山梨県埋蔵文化財センター
今福利恵 2020 「勝坂式土器における抽象文」「研究紀要」36 山梨県立考古博物館・山梨県埋蔵文化財センター
なお、上記研究紀要は山梨県立図書館と千葉市図書館の協力で千葉市図書館で閲覧コピーしました。2館に感謝します。
1 抽象文土器の名称
抽象文土器と呼ばれる土器文様はかつてサンショウウオ、ミヅチ、マムシ、ワニ、イルカなど多くの動物が推測されました。そのため、サンショウウオ文、みづち文、海獣文など多様な呼称で呼ばれました。特に著名考古学者がサンショウウオ説を唱えたこともあり、山椒魚そのものを表現していると誤解されることがありました。しかしその後の諸研究によりヘビが大小2匹表現されているという考えにいたっています。著者は誤解されないように抽象ヘビ文という呼称を2019年論文では使っています。
2 抽象文土器の時期的な位置付け
抽象文(抽象ヘビ文)は貉沢3期から藤内3期まで継続してそこでピタリと終焉し、藤内4期から多様な形状のヘビ文が井戸尻3期頃まで継続します。
動物意匠の変遷
今福利恵(2019)「勝坂式土器における動物文様と人体表現」から引用
参考 中期編年図
山梨県立考古博物館企画展「心を描く縄文人」展示リーフレットから引用
3 抽象文の概況
抽象文の概況
今福利恵 2020 「勝坂式土器における抽象文」から引用
4 抽象文土器の分布
抽象文土器の分布
今福利恵 2020 「勝坂式土器における抽象文」から引用
5 抽象文の成立過程
初源期の抽象文が誕生した過程をみると、既存の勝坂式土器懸垂文に三角形の頭部と太めで長い体部に細い尾部からなるおそらくヘビの表現をあわせることを厳密に順守してきています。その過程の中でU形抽象文とC形抽象文が合成したUc形抽象文(定形的抽象文)が生まれます。こうした時間的変遷から定形的抽象文はヘビ2体の抽象文が重なったものであることが判明しました。
6 感想
これまで抽象文土器と呼ばれる土器の文様は間違いなくサンショウウオが表現されているものと理解してきていました。その理解が完璧に否定され、新しい知識を得ることができました。まことに痛快です。
7 これまでに作成した抽象文土器3Dモデル
これまで次の5点(6土器)の抽象文土器3Dモデルを作成してきています。
1 動物意匠文付土器(勝坂Ⅲ式)(船橋市ユルギ松遺跡) 観察記録3Dモデル
撮影場所:八千代市立郷土博物館「らくがく縄文館-縄文土器のマナビを楽しむ-」
撮影月日:2021.11.02
2 抽象文深鉢形土器(茅野市東風呂遺跡)2点 観察記録3Dモデル
撮影場所:尖石縄文考古館
撮影月日:2020.03.13
3 縄文中期前半抽象文深鉢形土器(茅野市辻屋遺跡)A 観察記録3Dモデル
撮影場所:尖石縄文考古館
撮影月日:2019.09.13
4 縄文中期前半抽象文深鉢形土器(茅野市辻屋遺跡)B 観察記録3Dモデル
撮影場所:尖石縄文考古館
撮影月日:2019.09.13
5 縄文中期前半抽象文深鉢形土器(茅野市辻屋遺跡)C 観察記録3Dモデル
撮影場所:尖石縄文考古館
撮影月日:2019.09.13
これら5点の3Dモデルを観察しやすくするために自分のSketchfabサイト内に集めて抽象文土器collectionを作成しました。
抽象文土器collectionの画面
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